都市部で働く48歳の会社員、佐々木まどかさん(仮名)。夫と高校生の息子との3人暮らしです。母は78歳。車で3時間ほど離れた地方都市の郊外で、一人暮らしをしています。変形性膝関節症があり、長い距離を歩くと痛みます。要支援2の認定を受け、週1回の通所リハビリに通っています。
ある朝、母が暮らす地域で大きな地震が発生しました。母にけがはありませんでしたが、水道が止まりました。市のホームページには、徒歩15分ほどの小学校に給水拠点が開設されたことが案内されていました。
「水をもらいに行っても、重くて持って帰れないよ」。電話口の母の声に、まどかさんは言葉に詰まりました。
給水拠点にたどり着けない、水を持ち帰れない。そんなとき、どこに何を伝えればよいのかを見ていきます。
給水所があっても「水を運べない」高齢者
2024年能登半島地震では、6県38事業者で最大約13万6000戸が断水しました。
断水時には、自治体が応急給水拠点を設ける場合があります。自治体によっては、給水を受けるためのポリタンクや給水袋などの容器を持参するよう案内しています。災害への備えとして、飲料水は1人1日3リットルが目安とされています。3日分なら9リットルとなり、水だけで約9キロの重さになります。
容器を持って拠点まで行き、水を入れて持ち帰る。高齢の人や膝や腰に痛みのある人には負担が大きく、持ち帰ることが難しい場合があります。
「水を運べない」と伝える まず相談したい先は
▼まず開設状況と場所を確かめる
給水拠点は、断水や復旧の状況に応じて場所や時間が変わります。まずは市区町村や水道局のホームページや公式SNSを確認します。離れて暮らす家族が代わりに調べて電話で伝えれば、本人が情報を探す負担を減らせます。
▼受け取れない事情を窓口に伝える
介護サービスを利用している場合は、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターなど、普段から関わりのある支援者に相談する方法もあります。
災害が起きた直後で連絡が取りにくいときは、近くの避難所の運営者や、災害対策の担当課に伝える方法もあります。支援の方法は地域や被災状況によって異なりますが、自力で水を受け取れないことを伝えることで、利用できる支援や受け取り方法を案内してもらえる場合があります。
実際の災害時には、自力で水を運ぶことが難しい人への支援が行われた例もあります。2026年の熊本地震では、八代市で、外出が難しい高齢者世帯や身体的な理由で水を運べない人などを対象に、飲料水や生活用水を自宅まで届ける取り組みが行われました。また、避難所に届いた飲料水を、町内会などを通じて外出できない高齢者の自宅へ届けた地域もありました。
支援の内容や実施主体は地域や被災状況によって異なるため、まずは本人の状況を伝え、利用できる支援があるか確認することが大切です。
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この日はまどかさんが母のもとへ向かい、必要な水を届けました。ただ、災害のたびにすぐ駆け付けられるとは限りません。そこで、母が自力で給水拠点まで行けない場合にどこへ相談できるのか、担当のケアマネジャーや地域包括支援センター、自治体に確認しておくことにしました。
災害時の支援方法は、地域や被害の状況によって異なります。離れて暮らす高齢の家族がいる場合は、自治体の給水情報の確認方法や、本人だけでは水や物資を受け取れないときの相談先を平時から確かめておくとよいでしょう。
【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。