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「あなたにも娘にも愛情が見出せない」15年間連れ添った妻が突然の離婚宣告 「ひとりで暮らしたい」は裁判で認められるか【弁護士が解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

42歳の会社員・Aさんは、妻と15年間連れ添い、中学2年生の娘がいます。共働きで、妻も事務職として仕事をこなしながら家庭を支えてきました。夫婦仲は良好で、休日には家族で出かけることも多いです。

ところが今年の梅雨のある夜、夫婦でテレビを見ていると妻が唐突に「今すぐ別れるか、娘が成人した後に別れるか、決めてほしい」と言い放ちます。驚いたAさんが理由を尋ねると、「あなたにも娘にも愛情が見出せないし1人で暮らしたい」と答えました。

ただ、Aさんは妻への愛情があり、離婚には応じられません。これを妻に伝えて関係修復はできないのか聞いても、妻は首を横に振るばかりです。

では「感情がない」「1人になりたい」という理由での離婚要求は、法律上認められるのでしょうか。また、夫が離婚を拒み続けた場合、婚姻関係はどうなるのでしょうか。弁護士法人プロテクトスタンスの大橋史典弁護士に話を聞きました。

一方的な離婚要求に、どう向き合うべきか

――「感情がない、1人になりたい」という理由は、法律上の離婚原因になりますか。

「感情がない」「1人になりたい」という理由だけでは、裁判で離婚が認められる法的な原因には該当しにくいと考えられます。

夫婦の両方が合意すれば理由を問わず離婚できますが、片方が拒否している場合、裁判で離婚が認められるには「法定離婚原因」に該当する事情が必要です。

具体的には、不貞行為(肉体関係を伴う浮気・不倫)や、正当な理由がないのに家族を見捨てる「悪意の遺棄」、3年以上の生死不明のほか、「婚姻を継続し難い重大な事由」があります。

長期間の別居や、DV・モラハラといった事情がなく、単に「1人になりたい」という理由だけでは、夫婦関係の継続が困難な事情があると裁判所が判断する可能性は低いでしょう。

――相手が離婚を拒否し続けた場合、それでも離婚は成立しますか。裁判になった場合の見通しを教えてください。

今の状態では、裁判で離婚が成立するとは考えにくいです。

話し合いで離婚が合意に至らなければ「離婚調停」へと進みます。調停でも合意できない場合、「離婚裁判(訴訟)」を起こすことで、離婚を認めるかどうかを裁判所が判断します。

ただし、裁判で離婚が認められるには、先ほど説明した法定離婚原因に該当する事情が必要です。

そのため、不貞行為や悪意の遺棄といった事情がなく、「1人になりたい」という理由だけでは、法定離婚原因に該当する事情があるとは判断されにくいでしょう。

もし、実際に別居を開始して一定期間が経過すれば、夫婦関係が破綻しており、修復の見込みがないとして、離婚が認められる可能性があります。

――「子どもが独り立ちするまで待つ」という口約束は、法的な効力を持ちますか。

「子どもの独り立ちまでは離婚しない」と口約束しても、独り立ちの前に「離婚したい」と相手が言い出せば、その約束に法的な強制力を持たせることはできません。

対処方法として、相手と約束した内容を後から確認できるよう、合意書を作成して公正証書に残すことが考えられます。ただし、公正証書があっても、離婚そのものに関する約束は強制できないため注意しましょう。

一方、養育費や婚姻費用などの金銭の支払いに関する約束に対しては、強制力を持たせることが可能なので、離婚に関する合意内容は公正証書に残すことをおすすめします。

――親権を「いらない」と言っている場合、養育費や面会交流はどう取り決めるべきですか。

親権を持たなくても子どもの扶養義務があるため、養育費を支払う必要があります。お互いの収入や子どもの年齢、人数などを踏まえ、養育費をいつまで、いくら支払うか、離婚時に決めましょう。

親権だけでなく面会交流も「いらない」と相手が言っても、夫婦間の意向だけでなく、子どもの利益も考えることが求められます。拒否する相手に強制はできませんが、子どもが面会交流を希望するのであれば、その気持ちも尊重して考えることが大切です。

また、2026年4月から「共同親権」の制度がスタートしました。もし、「親権はいらない」が本音でないのであれば、2人とも親権者になる選択肢も頭に入れて、離婚について話し合ってもよいでしょう。

◆大橋史典(おおはし・ふみのり)弁護士/弁護士法人プロテクトスタンス
弁護士として10年以上のキャリアを持ち、離婚・男女問題や刑事事件などの知識と経験が豊富。税理士や社会保険労務士の資格も有しているほか、ニュース番組や新聞社からの依頼で話題のニュースを解説するなど、メディアへの出演実績も多数(第一東京弁護士会所属)。
▽弁護士法人プロテクトスタンス
https://adv-isharyou.jp/

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