厚生労働省が公表した「令和7年度 雇用均等基本調査」において、男性の育児休業取得率は50.9%となり、調査開始以来、初めて5割を超えました。男性育休は一部の人のための特別な制度から、誰もが利用する当たり前の制度へと変貌を遂げつつあります。
そうした中、株式会社ワーク・ライフバランス(東京都港区)は、厚生労働省委託事業「共育(トモイク)プロジェクト」が公表した「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査(速報)」の結果を受け、制度を設けるだけでなく「仕事と育児を両立しながら誰もが能力を発揮できる組織づくり(共育てできる組織)」が今後の企業の重要経営課題になるとの見解を発表しました。
厚生労働省の調査は、常用労働者10人以上を雇用している民営企業のうちから産業・規模別に層化して抽出した企業3077社、および常用労働者5人以上を雇用している民営事業所のうちから産業・規模別に層化して抽出した事業所3291事業所を対象として、2025年10月に郵送・インターネットにより実施されました。
また、共育(トモイク)プロジェクトの調査は、全国の17~39歳男女(高校生・大学生など及び社会人)1万5845人を対象として、2026年6月にインターネットで実施されました。
厚生労働省の「令和7年度 雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は50.9%となり、初めて5割を超えました。
一方、取得する人が増えた今、企業には制度を設けて取得を促すことに加え、一定期間社員が不在になっても業務が滞らず、復職後も育児と仕事を両立しながら活躍できる職場をつくることが求められます。取得率の向上と、取得を支えられる組織づくりを両輪で進める段階に入ったと考えられます。
また、厚生労働省委託事業「共育(トモイク)プロジェクト」の調査では、将来子どもを希望する若年層の約9割が「育休の取得を希望」(87.2%)しています。さらに、そのうち約68.6%が「1カ月以上」(男性55.6%、女性82.1%)の取得を希望していることが分かりました。
従来、男性育休は「数日〜2週間程度」の短期取得を想定する企業が多く見られました。しかし、今や若手が希望する取得期間は長期化しており、企業には1カ月以上の不在を前提とした業務体制の見直しが求められています。
さらに、若年層の67.5%が、会社を選ぶ際に「仕事とプライベートの両立を意識している」と回答しました。
若手人材にとって、育休制度が存在するかどうかだけでなく、「実際に取得できる風土があるか」「復職後もキャリアを積み重ねられるか」という点が会社選びの大きな基準になっており、両立支援や男性育休の推進は、単なる福利厚生の拡充ではなく、採用力や人材定着力を左右する人的資本経営の課題として捉える必要があります。
他方、「子育て時期の両立においてハードルとなりやすい要因」としては、「業務量」(37.8%)や「長時間労働」(37.3%)、「突発的な業務への対応」(32.3%)、「上司・管理職の理解不足」(28.5%)などが挙げられました。
また、「希望の働き方と子育てとの両立を実現するために企業や周囲に求めること」については、「業務量の適正化」(37.5%)や「上司・管理職の理解促進」(32.5%)などが挙がり、特定の社員への業務集中や属人化を解消し、上司のマネジメントやチーム全体の業務設計を見直すなど、現場の働き方そのものに踏み込んだ改革が必要であることが明らかとなりました。
なお、「仕事と育児の両立に関する考え方」については、両立に積極的な若年層ほど、「両立できる環境があればキャリアアップしたい」(全体42.8%、両立に積極的な若年層64.7%)と考える割合が21.9pt高いことも判明しました。
これは「家庭を重視する人はキャリア志向が低い」という従来のイメージとは異なり、適切な環境さえあれば積極的に役割を果たしたいと考える社員が多いことを示しており、両立支援は社員への優しさにとどまらず、将来の中核人材や管理職候補を育てるための戦略的投資と言えます。
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同プロジェクト推進委員であり、同社の経営企画室長でもある大畑愼護氏は、「業務の属人化解消や突発的な休みに対応できるチームづくりなど、制度だけでは解決できない現場の課題に向き合うことが不可欠です。誰かが一定期間不在でも業務が回り、復職後も活躍できる組織をつくることは、若手の採用・定着や将来の管理職育成、ひいては企業の持続可能性に直結します」とコメント。
男性育休の「取得率」を高めるフェーズから、取得後や不在時も含めて「チーム全体で業務を回せる組織」へと移行できるかどうかが、これからの企業が優秀な人材を引きつけ、成長し続けるための鍵となりそうです。
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【出典】
▽厚生労働省「令和7年度雇用均等基本調査」
▽厚生労働省委託事業「共育(トモイク)プロジェクト」/「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査(速報)」