tl_bnr_land

「障害者手帳は仕事で不利になる?」うつ病で通院する45歳女性が申請前に確認した制度の仕組みと注意点【社会福祉士が解説】

もくもくライターズ もくもくライターズ

東京都内で暮らす45歳の会社員・田中さん(仮名)は、数年前からうつ病で精神科に通院しています。服薬と休職を経て復職しましたが、体調に波があり、仕事を休む日もあります。主治医から精神障害者保健福祉手帳の取得を勧められたものの、「会社に知られると、仕事で不利になるのでは」「本当に自分も障害者手帳の取得対象になるのだろうか」などの不安を感じ、申請をためらっていました。

障害者手帳は、障害のある人が必要な支援を受けるための制度です。ただし、手帳の種類や自治体によって利用できる支援が違うなどの注意点もあります。取得を迷う人が知っておきたい制度の仕組みや相談先などを、一緒に見ていきましょう。

障害者手帳を取っても、仕事で不利になるとはかぎらない

まず安心してほしいのは、障害者手帳を取得しても、行政から勤務先へ自動的に通知されるわけではないということです。手帳の有無を職場などの周囲へ伝えるかどうかは、就労上の必要性と本人の意思に基づいて選択できます。

一方で、手帳を取得すると、「障害者雇用」の枠での就職や転職を検討できるようになります。障害者雇用は、障害者雇用促進法に基づいて企業が一定の割合で障害のある人を雇用する制度で、応募や採用の際には手帳の提示が求められます。障害の特性に応じた働き方や、通院への配慮を前提とした雇用形態のため、無理なく長く働き続けたい人にとって選択肢の一つとなります。

田中さんも当初は「継続して勤務できなくなったり、待遇を変えられたりしてしまうのでは」と不安を感じていました。しかし、手帳の取得が不利益につながる可能性は低いと知り、申請を検討するようになりました。

障害者手帳の対象となる人は?3つの種類を解説

障害者手帳は、障害の種類によって次の3種類に分けられます。
・身体障害者手帳(身体障害が対象)
・療育手帳(知的障害が対象)
・精神障害者保健福祉手帳(精神障害が対象)

療育手帳は自治体が運用しているため、手帳の名称や対象となる人の基準は都道府県によって違います。また、精神障害者保健福祉手帳は、うつ病や双極性障害、統合失調症などや、てんかん、発達障害など、精神に障害がある人が対象です。

◆手帳があると利用できる支援

障害者手帳を取得すると、次のサポートを受けられる可能性があります。

・税の控除
・公共交通機関や公共施設の割引
・就労支援
・障害者雇用での応募
・医療費の軽減

ただし、利用できる支援は、手帳の種類や等級、自治体などによって異なります。申請を検討する際は、お住まいの自治体のホームページや福祉課などで利用できる制度を確かめておくと安心です。

障害者手帳の申請で知っておきたい注意点と相談先

障害者手帳を取得するか迷う場合は、主治医や市区町村の福祉課などに相談してみましょう。生活や仕事での困りごとを伝えた結果、自分に合う支援や相談窓口を紹介してもらえるケースが少なくありません。

相談する際は、日々の困りごとを具体的に伝えるようにしてください。例えば、週に数日は布団から起き上がれない、片付けが苦手で生活に支障が出ているなど、日常生活で困っている場面を説明するとよいでしょう。状況に応じた支援について、より的確なアドバイスを受けやすくなります。

なお、精神障害者保健福祉手帳の有効期間は原則2年です。更新を希望する場合は、有効期限までに再度申請が必要です。

制度を知り、納得して判断した田中さん

田中さんは、障害者手帳を取得すると会社に知られてしまうのではないか、待遇が変わらず働き続けられるのかという不安を、主治医や病院の精神保健福祉士、市区町村の障害福祉課に相談しました。そこで、障害者手帳を申請しても、職場に自動的に知らされるわけではないと知り、不安は少しずつ和らいだそうです。利用できる制度についても説明を受け、田中さんは障害者手帳の申請を決断しました。

田中さんは現在も、障害者手帳の取得を職場に知られることなく、これまでと変わらず働いています。さらに、「手帳の申請を通じて、自分の障害に向き合い、働き方を見直すきっかけにもなった」と話していました。

障害者手帳は、疾患や特性によって生活や仕事で困りごとを抱えたときに、支援につながるための選択肢の一つです。迷ったときは一人で悩まず、自治体の窓口や主治医に相談しましょう。

【出典】
厚生労働省「障害者手帳」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/techou.html
厚生労働省「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドラインの概要」P6 ④把握・確認に当たっての禁忌事項
https://www.mhlw.go.jp/content/000581104.pdf
東京都福祉局「【都民の皆様へ】精神障害者保健福祉手帳の申請手続き」
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/shisetsu/jigyosyo/chusou/fukushitecho/techo_tomin
厚生労働省「自立支援医療」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/index.html

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース