tl_bnr_land

友人の離婚協議の場に付き添った女性 見守るだけのつもりが気づけば交渉役 後日、弁護士から届いた通知は「あなたの行為は法律違反です」【弁護士が解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

ある日Aさんは、夫からの威圧的な言動に怯える友人から、「夫と1人で会うのが怖いから一緒についてきて…」と頼まれ、カフェでの離婚協議に付き添うことになりました。最初は、ただ横で見守るだけのつもりでした。

しかし、夫を前にして言葉に詰まり、身体を震わせる友人を見かねたAさんは、思わず「彼女は離婚を望んでいます」「慰謝料についても話し合いたいと言っています」と口をはさんでしまいます。話し合いが進むにつれて、Aさんが条件を伝えたり返答を促したりと、完全に交渉の窓口になっていきました。

ところが数日後、夫側が立てた弁護士からAさん宛てに通知が届きます。そこには「弁護士資格を持たない者が他人の紛争に介入して交渉を行う行為は、弁護士法72条違反(非弁行為)に該当する可能性がある」という指摘が書かれていたのです。

親切心から友人を助けようとした行為が、なぜ法律違反になってしまうのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。

親切心での「代弁」もアウト

――弁護士資格のない人が、友人の離婚交渉に同席して代わりに話す行為は違法ですか?

弁護士資格を持たない人が、利益や報酬を得る目的で他人の法律事件や紛争に介入し、代理で交渉を行う行為は「非弁行為(弁護士法72条違反)」として法律で禁止されています。

単に同席して横で見守るだけであれば問題ありませんが、本人の代わりに相手方へ離婚条件を提示したり、妥協点を交渉したりする域に達してしまうと、たとえ友人を思う親切心からであったとしても、非弁行為とみなされる可能性が高くなります。

法律上のトラブルにおいて「代わりに交渉する」権利は、原則として弁護士だけに認められているものです。専門知識のない無資格者が介入することで交渉が紛糾したり、当事者に予期せぬ不利益が生じたりするのを防ぐために、厳しく制限されています。

――報酬を一切受け取っていなくても、非弁行為として処罰の対象になりますか?

無報酬であれば、直ちに犯罪が成立するわけではありません。弁護士法72条では「報酬を得る目的」があるかどうかが、一つの基準とされているためです。

ただし、注意が必要なのは「報酬」の解釈です。金銭の授受がなくても、後でお礼として高価なプレゼントや食事をごちそうになる約束があったり、何らかの対価的な利益が想定されていたりする場合は、「報酬目的」があったと判断される場合があります。

また、仮に刑事罰としての非弁行為には当たらないとしても、無資格者が法的交渉に深く介入した結果、相手方から「不当な介入で交渉を妨害された」「脅迫的な言動があった」として、民事上の損害賠償を請求されるリスクは存在します。

――友人のために生成AIやLINEで文面を作ってあげたり、連絡を仲介したりする行為も問題になりますか?

友人の相談に乗って愚痴を聞く程度であれば、問題ありません。しかし、代わりに文章を構成して相手に送らせたり、グループLINEなどで直接相手とやりとりを仲介したりする行為は注意が必要です。

とくに、生成AIなどを使って「応じない場合は法的措置を検討します」「〇〇万円の慰謝料を請求します」といった法的効果を伴う文面を作成し、それを継続的に提供して送らせている場合、実質的に法律相談や交渉の口添えを行っているとみなされる恐れがあります。

怯えている友人を助けたいという気持ちは理解できますが、専門的な知識がないまま間に立つことは、かえってトラブルを泥沼化させ、自分自身も法的リスクに巻き込まれる原因になります。親切心から手助けしたいときこそ、直接交渉を引き受けるのではなく、弁護士や公的な相談窓口へ一緒に行ってあげるなどのサポートにとどめることが大切です。

◆北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士
「きたべん」の愛称で、大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース