大雨が降る公園の片隅に置かれた、ふやけた段ボール。その中にいたのは、へその緒がついたままの子猫4匹でした。体は雨に濡れ、体温も低下。発見が遅れていれば、命を落としていた可能性もあります。
子猫たちを受け入れたのは、大阪市此花区でTNRや猫の保護活動に取り組む「moto保護猫シェルター」(@motonekoneko)です。
Instagramに当時の状況を投稿すると、「あと数時間でも発見が遅かったら……」「命が助かったのが奇跡のよう」「少しでもできることをして応援したい」など、安堵や感謝、支援を申し出る声が寄せられました。シェルターの代表に詳しいお話を聞きました。
大雨で体温が低下 発見者がカイロで温める
子猫たちが見つかったのは、2026年7月5日。大阪府堺市内の公園でした。
「堺に住む仲間から緊急連絡がありました。公園の片隅に置かれた段ボールに、子猫が4匹入れられていたそうです。推定で生後0~3日ほど。まだへその緒がついており、オスが3匹、メスが1匹でした」
当日は大雨。段ボールは雨を吸ってふにゃふにゃになり、子猫たちの体も濡れて体温が下がっていたといいます。
午後6時半ごろに連絡を受け、第一発見者が子猫たちを車で此花区まで運び、午後8時過ぎにシェルター側が受け入れました。
「第一発見者の方が新しい段ボールとタオルを用意し、タオルの下にカイロを敷いてくれました。そのおかげで体温が上がり、子猫たちは元気になりました」
迅速な対応によってつながった4つの命。現在、子猫たちは代表の自宅でお世話を受けています。
3時間おきの授乳、体調不安定なら1時間おきに確認
しかし、生まれて間もない子猫を育てることは容易ではありません。特に気が抜けないのが、体調管理だといいます。
「子猫の下痢は命に直結しやすく、脱水も起こるため、いつもヒヤヒヤします。ミルクは3時間おき。体調が不安定なら、1時間おきに様子を見ることもあります」
これまで何度も子猫を育ててきましたが、状態や成長の仕方はそれぞれ異なります。睡眠を削ってお世話を続けるなか、保護する側の精神的な負担も大きくなるそうです。
さらに、近年はミルクなどの値段も上昇しています。子猫用のミルクは1缶3000円近くすることもあり、複数の子を育てるには相応の費用がかかります。
「大変なのは、時間と体調管理です。何度経験しても毎回違いますし、お世話をする人の精神面がつらくなることもあります」
「少しの気持ちがうれしい」物資以外の支援も
投稿では、「人間に赤ちゃんポストがあるように、猫にもそのような仕組みがあれば」との思いもつづられていました。あくまで個人的な意見としたうえで、命を守るためには費用面の壁を避けて通れないといいます。
「殺処分にかかるお金を、生きるために使ってほしいです。仕組みとしては、保護活動をする人たちの横のつながりを強くして、サポートできる人ができることをする。地域に根差したフードバンクにも力を入れ、助けてくれる仲間を増やしたいです」
支援は、寄付だけではありません。ミルクやパウチ、ドライフード、ペットシーツなどの消耗品の提供、一時的なお世話の協力も、大きな助けになります。また、保護活動をする人に寄り添う言葉も、支えになるそうです。
「優しい気持ちや声をかけてもらえると、私はすごくうれしいです。物資や費用、一時的なお世話も本当に助かります。保護主によって必要なものや条件は異なるので、応援したい団体に確認するのが一番だと思います」
保護を依頼する際の対応や費用の考え方も、団体によって異なります。費用の話を聞いて相談を取りやめる人がいる一方、資金がなければ活動を続けられない団体もあります。そこであきらめてしまわず、別の団体にも相談することが大切です。
「ほんの少しの気持ちでも、私はうれしいです。信頼関係を築くためにも、きちんと連絡を取り合える方とつながっていきたいです」
一人ですべてを背負うのではなく、物資を届ける、費用を支える、短時間だけお世話を手伝う、ねぎらいの言葉をかける…一人ひとりの小さな協力が、子猫の命と保護活動を支える力になります。
病気を抱える猫たちもシェルターで生活
moto保護猫シェルターでは、今回保護された子猫たちのほかにも、病気を抱えながら暮らす猫たちを受け入れています。
猫白血病ウイルス(FeLV)陽性の「ゆめちゃん」と「ひとみちゃん」は、ともに生後半年ほどの女の子。ゆめちゃんは穏やかで人が大好きな甘えん坊、ひとみちゃんはおもちゃで遊ぶことが好きな人懐っこい子です。
猫免疫不全ウイルス(FIV)陽性の猫たちも暮らしています。年齢不明の女の子「まるちゃん」は、おっとりとした静かな性格。年齢不明の男の子「くろまるくん」は、まだ人に慣れておらず、警戒心が強いといいます。
同じく猫免疫不全ウイルス陽性で、年齢不詳の男の子「ふくまるくん」は、少し怖がりですが、実は甘えん坊。周囲を和ませる“癒やしキャラ”なのだそうです。
シェルターでは、継続的な見守りやお世話が必要な猫たち一匹一匹に寄り添いながら、保護活動に取り組んでいます。活動を支える物販にも力を入れ、「みんなで作る譲渡会」を合言葉に、多くの人と協力しながら、保護猫と新しい家族とのご縁をつないでいます。