「シマちゃんが家をさがし歩いて私たちの家にたどり着いた奇跡から、奇跡の連続が始まりました」--。
そんなテキストが添えられた動画がInstagramで注目を集めています。
投稿者の「パン工房 アウビング」(@brot.aubing)さんは、里山の保全から無農薬栽培まで、地域の恵みを循環させるパン屋さん。ドイツ留学の経験がある夫と2人で、13年前にお店をスタートさせました。
そのお店の近くで暮らしていたのが、地域猫のシマちゃん(男の子・3歳)です。エサやりを通して仲良しになったシマちゃんは、抱っこできるほどに懐くようになりました。
そんなある冬の日、夜には氷点下まで冷え込みそうな厳しい寒さだったことから、ご夫婦は一度だけ、車で5分ほどの自宅にシマちゃんを連れて帰りました。
助手席で投稿者さんの腕に抱かれながら、窓の外の景色をずっと見ていたというシマちゃん。初めての場所だったにもかかわらず、その夜はご夫婦と一緒に朝までぐっすり眠ったそうです。
翌日からは、いつも通り地域猫として暮らしていたシマちゃんでしたが、冬を越え、春の気配を感じ始めたある夜、今度はひとりでご夫婦の家を訪ねてきました。
「夜の11時頃だったでしょうか…。夫が『何か声がする』と玄関を開けたところ、シマちゃんが座って鳴いていました。自宅はお店から車で5分ほどですが、車が行き交う大通りを渡らなければ来られない場所です。無事でよかった…というのが最初に沸き上がってきた気持ちです」
「いつかシマちゃんを家族に迎えたい」--。お互いにそう思っていたご夫婦は、その場でシマちゃんを保護。後から防犯カメラを見返してみると、いつもお店に停めていた車を、庭先で確認しているシマちゃんの様子が写っていたそうです。
「車によくスリスリと体をこすりつけていたので、においを確認していたのかもしれません。たった一度で道を覚えたことも含め、頭のいい子だなと感心しました。何より、猫からすればかなりの距離です。初めて歩くだろう長い道のりを、自分の意志で選んできたことに胸が熱くなりました」
晴れてご夫婦の家族となったシマちゃん。パン屋さんという仕事柄、朝早くから夜遅くまでお留守番をすることもありますが、その間もとてもおりこうに過ごしているそうです。
招き猫シマちゃんが運んできたご縁
まるで「ここが自分の家」と決めたかのように、ご夫婦のもとへやってきたシマちゃん。そんなシマちゃんを家族に迎えてから、「パン工房 アウビング」に不思議な出来事が起こりはじめます。
「8年ほど前から、社会情勢の変化などが重なって足踏み状態だった新店舗の計画が、シマちゃんがやってきたのを境にぐっと動き始めたのです。人とのありがたいご縁が急につながり始めたといいますか…シマちゃんが私たちの道をつなげてくれたような気がしています」
現在は、長年の夢だった新店舗の工事も始まり、オープンに向けた準備に追われながらも充実した日々を送っているという投稿者さんご夫婦。シマちゃんを連れ帰った日からの出来事をまとめた投稿は1.1万超のいいねを集め、「運命の出会いだったんだね」「幸せの連鎖」「リアル招き猫ですね」といった声が寄せられています。
「シマちゃんが運んでくれた幸せが、たくさんの人へと広がっていくようなお店にしたいと思っています」