風俗業界では長期的な連勤をすることを「鬼出勤」と呼びます。7連勤や10連勤、あるいはそれ以上働き続けるキャストもいて、極端な例でいうと2カ月以上休みを取らない人もいるほどです。このような、個人事業主だから実現できるハイパーブラック労働をする目的は大体が「ホストや地下アイドルに貢いでいる」「美容整形にハマっている」「ヒモ彼氏を養っている」「借金」のどれか。ただ、ごくまれに深い理由を持たずに連勤し続ける人もいます。その張本人であるマノさん(仮名・26歳)に話を聞きました。
家にいても何をしていいかわからない……だったら労働だ!?
風俗キャスト歴7年のマノさんは、大学時代から歓楽街で働き始め、そのまま学生をやめて専業キャストに。それ以来、2店舗を掛け持ちで週6~7日、最低10時間以上の勤務を続けて数年が経ちました。
経歴だけを聞くとお金に困っているのかと筆者は考えましたが、彼女曰く借金があったわけでもなく、推し活やホストなどにハマッた履歴もありません。なんと彼女は「ただただ労働が好き」という理由で現在も働き続けているのだそう(以下『』内、マノさん談)。
『大学も勉強しないで入れるところを選んで、テキトーな毎日を過ごしていました。そのときに出会った友達が風俗で荒稼ぎしていたんですよ。彼女は推し活資金とかハイブランド購入に精を出していましたけど、それに刺激を受けて、面白そう!と思っちゃったんです。
そこから紹介を受けてデリヘルで働き始めたところ、面白いくらい稼げて夢中になっちゃった。どんどんお金が増えて楽しいし、出勤すれば数万円もらえるから昼のバイトが馬鹿らしくなって辞めて、そのまま大学も中退し……って感じ(笑)。特にやりたいこともなかったから、一般的な企業に就職して無味乾燥な日々を送るよりも、今のうちに有り余るくらいお金を稼ごうって思ったんですよね。
お金が増えるのが楽しいし、家にいてもヒマだからとりあえず稼ぐかってノリを何年も続けています。周りからは“モチベーションが変わらないからスゴイ”と言われるのですが、私からすると趣味が労働みたいなものですよ(笑)』
仕事内容に対する抵抗がなかったわけではないものの、稼いだ金額を見たときに嫌悪感も何もかもが吹き飛んでしまったそうです。一般的な家庭で育った彼女にとって大金を稼ぐことは、この上ない感動があったのでしょう。
映画もアニメも漫画も興味がなく、友達もごく少数の彼女は、休みの日は基本的に引きこもるそうです。
『趣味がないんです。家にいてもTikTokがYouTubeダラ見して1日を終えちゃうからもったいないし、だったら仕事に行ってる方がいいですね』
鬼出勤嬢の2店舗掛け持ちスケジュールに迫る
2店舗掛け持ちで10時間以上の労働は疲労を覚えるだけではなく、シフトを組むのも大変なのではないかと疑問を抱きます。その点をマノさんに尋ねると「週7日のうち、メイン店舗を4日でサブ店舗を3~4日とちょうど半々で過ごしています」と、1週間のすべてが労働のスケジュールを語ります。また1店舗に絞らない理由は、希少価値や風俗に慣れていない様子を演出するためで、これが収入をキープするコツなのだそうです。
『週4日いるだけでもだいぶプロっぽいですけどね(笑)でも風俗業界って不思議で、週5~6日以上になってくると急に“擦れてる”とか“また居る”扱いを受けるから足枷になりやすいです。よっぽどの売れっ子じゃない限りは、専業でもだいたい2店舗掛け持ちが多いですよ』
マノさんは朝9時から長ければ夜21時まで働き、1日のほとんどをお店で過ごします。この生活でも自分だけの時間はほしくないそうで、むしろ1人だとヒマとのことです。
『マジでなにもないんですよ、私(笑)だから働かなかったら引きこもりで人として終わると思います。労働が好きなのもあるけど、社会不適合者にならないために自分のお尻を叩いている部分もありますね』
そんな彼女の最近のスケジュールは、7日~2週間連勤→2連休を繰り返し、1カ月に休暇が10日もない月がありました。一般的な風俗キャストが見たら青ざめるようなスケジュールですが、彼女にとっては最適なようです。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)
元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。