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全盛期には発行部数670万部を誇った学研の「学習」と「科学」 今夏、16年ぶりに「学習」が復刊!編集長「子どもたちに本物のワクワクを」

平藤 清刀 平藤 清刀

「学研の学習」は1946年に創刊され、教科を横断して学べる付録つきの総合学習誌だったが、2010年に休刊していた。

かつて子どもたちを夢中にさせた「学研の学習」が2026年7月、16年ぶりに復刊するという。なぜ今のタイミングなのか、敢えて現物で出版する意義について、株式会社Gakkenで「学研の学習」編集長を務める吉野敏弘氏に聞いた。

16年ぶりに復刊することの意義

遺跡から発掘されたばかりのように見える埴輪。これは「挂甲の武人(けいこうのぶじん)」といい、東京国立博物館(東博)所蔵の国宝を忠実に再現した組み立てキットだ。大人でも手に取ってみたくなる、見事な仕上げ。この夏に復刊される「学研の学習」(税込価格4,290円)第1弾「つくって学ぶ歴史のスターターキット」である。

ピーク時の1979年には、両誌で670万部という発行部数を誇った「学研の学習」と「学研の科学」。この数字は、単純計算で当時の小学生の3人に2人が購読していたことになるという。だが、社会情勢の変化とともに、2010年に一旦その幕を閉じた。しかし今、16年の時を経て復刊する。休刊は事実上の廃刊を意味することが少なくない出版界において、今回の復刊は大きな意味があると語る吉野氏。単なる懐古ではない。現代の子どもたちに向けて新たなメッセージを送り、子どもたちの未来へ期待を込めた復刊なのだ。

「子どもたちの目の前に置くべきは、教科書的な正解ではなく、手にした瞬間に世界の広がりを感じて胸が高鳴るような『本物のワクワク』です」

吉野氏の言葉からは、子どもたちが持つ「好奇心の導火線」に火をつけようとする、復刊への並々ならぬ熱意が満ち溢れている。

「自ら興味をもつことの大切さ」を伝えたい

復刊第1弾のテーマは「歴史」で、国宝の埴輪を自分で組み立てるキットがついている。歴史の入り口として埴輪を選んだ理由について、吉野氏は次のように語る。

「大人の目線だと、戦国時代か幕末など動乱の時代を選びがちです。確かに面白いですが、楽しむには予備知識が要ります。たとえば、何の知識もない子どもが織田信長の肖像画を見て興味をもつでしょうか」

埴輪のキットを制作するにあたっては、東博が所有している研究用の精密な3Dデータを利用して、細部まで忠実に再現したという。写真で見たものを実際に手に取って感じ取るためには、細部が省略されていては意味がないというこだわりだ。

ほかにも、立体工作で「犬」や「子どもをおんぶした女性」などの埴輪のパネルを組み立てて、自宅でミニ展示会を開くことができる。

「犬の埴輪には首輪と鈴がついていますし、女性が子どもをおんぶする姿も現代と変わることはありません。そのような姿を見て、当時から今の自分たちと変わらない生活があったのだと、知識がなくても昔の時代との繋がりを感じられるのです」

埴輪のパネルに付いているQRコードをスマートフォンで読み取ると、東博の研究者が直接語りかける解説音声を聞ける。

また、「滑石」という柔らかい天然石を紙やすりで削って「勾玉」をつくるキットも用意されている。

「石を削りながら、もっと形を良くしようとか、もっと光沢が出るまで磨きたいといった気持ちになってきます。きっと古代人も、同じ気持ちで石を削っていたのではないか。そんな想像から、歴史への興味に繋がることを期待しています」

「学研の学習」は今後、年に一度のペースで発刊される予定だ。すでに第3弾までの構想が練られている。第2弾では時事性を取り入れた地理のキット、第3弾では算数をテーマにしたものが検討されていて、具体的な中身はこれから詰めていくという。

最高レベルのギミックを詰め込んだ大人向けの新刊も

吉野氏は子どもの教材だけでなく、大人向けの人気シリーズ「大人の科学マガジン」の編集長も務めている。7月30日に発売される「あたらしい鳩時計」(税込み価格10,780円)に詰め込まれたギミックは、これまでの中で最高レベルと言ってよいだろう。

時間が来ると扉が開き、鳩が羽ばたきながら囀(さえず)って時を知らせる。しかも電子音ではなく、ポンプで空気を送って音を出す。さらには鳩が休息する動きまでを、ひとつのモーターとギヤの組み合わせだけで制御するという、良い意味で“変態的”に巧みな機構をもつ。しかも組み立てキットだから、基本的には誰が組み立てても同じように作動しなければならない。

「完成品を買うのではなく、丸一日かけて組み立てる時間と、失敗したり成功したりする感動を買っていただくのです」

ギヤのロスをいかに減らすか、限られたトルクで多彩な動きをどう再現するか。歯数の異なるギヤを同軸で回して移動量を制御するなど、オリジナルのギミックが凝縮されたメカニズムの設計と微調整に、約1年を費やした。それを自分で組み立てて、失敗してはバラしてまた組み直す。そのプロセスに、精神的に贅沢な豊かさを感じてほしい。

子ども向けの「学研の学習」も大人向けの「大人の科学マガジン」も、根底にある思想は変わらない。便利な時代だからこそ、自分の手を動かして未知の仕組みに触れる。そのアナログな体験とロマンに、大きな価値があるのではないだろうか。

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学研の学習 はにわの大国宝展

https://hon.gakken.jp/book/1575098200

大人の科学マガジン あたらしい鳩時計

https://hon.gakken.jp/book/1575098600

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