舞鶴工業高等専門学校(京都府舞鶴市白屋)の若林勇太准教授(36)らの研究グループが、発話の難しい子どもの感情表現をサポートしようと、気持ちを4段階の動作で表すロボットを製作し、舞鶴支援学校行永分校で昨年秋に導入した。気持ちの切り替えやクッションの役割を果たし、生徒と教員のコミュニケーションの質を高める効果を上げている。
ロボットは座高25センチ、肩幅14センチ。直方体の段ボールで胴体と頭部、手足を組み合わせた。モーターで動く関節によって首と腰が左右に、両腕がそれぞれ上下に動き、4つのボタンを押し分けて「バンザイ」「はい」「いいえ」「イヤイヤ」を表す。
舞鶴高専の昨年度の電子制御工学科5年生3人が卒業研究で製作した。高専と福島大の研究者計3人が加わった。
支援学校中学部3年の女子生徒は、発話が難しい。勉強熱心で授業に集中する一方、休憩時や生活時間との切り替え時に意思疎通が難しいことがあった。
昨年9月、教室にロボットを導入したところ、教員の問いかけに女子生徒がボタンを押して応答するようになった。
使い方に変化が現れたのは冬休み前ごろ。
生活の振り返りなど明らかにうれしい場面で、楽しそうな表情なのにあえて「イヤイヤ」を押して級友や教員らが沸き、教室内の会話が盛り上がることが繰り返しあった。
教員が、女子生徒への促しの言葉を、手元にあるロボットに向かって話す時もある。漫才でいう「突っ込み」を引き出す働きをしていて、「場面の切り替えに使うことが増えた。気持ちのクッションになっている」(森本有美教諭)という。
感情をそのまま表す想定でロボットを作ったという若林准教授は「コミュニケーションの中で、ロボットが第三者としての役割も果たすようになったのが興味深い。周囲の反応の違いも把握して、生徒も教員も工夫を重ねている」と話す。今後、教室内でのやりとりを言語学の観点からも分析するという。
福岡市で6月30日~7月1日に開催されるロボティクス・メカトロニクス講演会で、若林准教授がポスター発表する。