「だ、だれだ!?」「いつの間に!?」
そんな心の声が聞こえてきそうな猫の表情が、Instagramで多くの人を笑顔にしています。
投稿したのは、職場で暮らす保護猫たちの日常を発信している「はちですよ」さん(@cats5_hachi)。出産を終えた母猫のそばで、突然現れた4匹の子猫を前に呆然と立ち尽くす元野良猫・ハチくんの姿が、「かわいすぎる」「見守っていて優しい」と反響を集めました。投稿者さんに詳しいお話を伺いました。
「いつの間に!?」目を覚ましたハチくんが見た光景
動画では、出産を終えた母猫・チビちゃんと、そのそばでフリーズするハチくんの姿が映し出されています。投稿者さんによると、実は出産前からハチくんはチビちゃんの異変に気づいていたそうです。
「『出産に立ち会うハチ』という動画も投稿しているのですが、出産前、いつもと様子が違うチビに気づいたのか、ハチは優しくグルーミングをしてあげていました」
ところが、その後ハチくんは眠ってしまいます。そして目を覚ますと、そこには4匹の子猫たちが。
「動画の表情は、『だ、だれだ!? いつの間に!?』というような気持ちだったのかもしれません(笑)」
驚きで固まってしまったような表情は、まるで人間のよう。その愛らしい反応に、多くの人が癒やされました。
工場に現れた若い野良猫 保護するとすでに妊娠していた
子猫を産んだチビちゃんは、職場の工場にいつの間にか住み着いていた野良猫でした。
「発情期だったからか少し警戒心はありましたが、すぐに触れられるくらい人に慣れてくれました」
毎日のようにオス猫が後をついて歩いていたことから、ケンカや妊娠を心配し、早めの保護を決断。しかし、その時にはすでにおなかに命を宿していたといいます。出産に備えてケージの中にベッドを用意し、段ボールで周囲を囲むなど安心できる環境を整えました。ところが、チビちゃんは予想外の行動に。
「意外とおおらかな性格だったようで、隠れることなくハチや私たちの前で出産を始めました」
推定1~2歳という若さで4匹を出産したチビちゃんは、現在も付きっきりで子育てに励んでいます。
「後悔するくらいなら」元野良猫ハチくんを救った決断
実はハチくんも、約1年前に職場へ突然現れた元野良猫でした。
冬のある日、それまで食べていたご飯を急に口にしなくなり、普段は決して入らない発泡スチロールの小屋に閉じこもるようになったといいます。保護経験がなかった投稿者さんは、カイロを靴下に入れて火傷しないよう工夫しながら暖を取らせ、必死に見守りました。しかし、体調は一向に回復しませんでした。
病院へ連れて行きたいと家族に相談すると、「野良猫だから、助けてもキリがない」と反対されたそうです。それでも投稿者さんは、「明日にはもう居ないかもしれない」という不安を拭えませんでした。
「『後悔するくらいなら家族を裏切ろう』と思い、内緒で発泡スチロールごと病院へ連れて行きました」
診断結果は、何かを食べたことによる中毒で黄疸(おうだん)も出ている状態。そのまま入院となり、2~3週間の治療を経て元気を取り戻しました。
「あの時、勇気を出して病院へ連れて行って本当によかったと思っています」
現在、職場で暮らしている保護猫はハチくん、チャタくん、チビちゃん(+子猫4匹)の3匹です。その中でハチくん(推定8歳)は、ほとんど怒ることがない穏やかな性格で、チャタくん(推定4歳)の遊び相手やストレス発散の相手になってくれる、お兄ちゃんのような存在。一方で、ケージを壊してしまうほど力持ちなため、唯一ケージに入らず自由に過ごしている猫なのだそうです。
「こんな子が野良猫だったんだよ!?」伝えたい保護猫の魅力
生まれたばかりの子猫たちは、まだハチくんと直接触れ合うことはありません。それでも投稿者さんは、「新しい家族が増えたことは分かっているように感じます」といいます。最近では窓の外を眺める時間が長くなり、以前よりも熱心にパトロールする姿が見られるそうです。
動画には「優しい」「かわいい」と多くのコメントが寄せられています。
「コメントはとってもうれしいです。こんな子が野良猫だったんだよ!?という気持ちもあります。人よりも優しい瞬間があると感じます。少しでも救われる猫ちゃんが増えるといいなと思います」
4匹の子猫については、家族の中で譲渡という意見もある一方、「私は譲渡より飼いたい派」と笑います。
「今はチビがとっても子猫をかわいがっていて、大好きなのが伝わって譲渡を考えられません(笑)。とりあえず何も考えずに、チビと子猫優先で暮らしたいです」
ハチくんが驚いたあの日に始まった、小さな命との新しい毎日。元野良猫たちがつないだ優しい家族の物語は、これからも多くの人の心を温めてくれそうです。