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一体誰が……脚が不自然に変形し、人間不信に陥った保護猫→保護団体で絆深め、膝の上ですやすや→優しい里親に引き取られ、窓辺で帰り待つ穏やかな日々

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「この脚では幸せになれないのでは…」

そんな心配をよそに、一匹の保護猫が自ら幸せをつかみ、家族に生きる力を与える存在になっていた。

Instagramで話題になったのは、保護猫シェルター「はぐみぃハウス」さん(@hug3dogcat)が投稿したハンディキャップを抱える猫・はるくんの物語。「守っているつもりが、守られているのは人間の方かもしれない」という言葉に、多くの人が胸を打たれた。

コメント欄には「幸せになる権利は平等」「人間を信じてくれてありがとう」「動物は語らないけど教わることが多い」といった声が寄せられている。

はるくんを保護した経緯について、はぐみぃハウスの担当者に話を聞いた。

脚に包帯を巻いた子猫との出会い

はるくんは、山梨県動物愛護指導センターから引き出されたオス猫だ。当時は生後3カ月ほど。センターでは「からあげ」という名前で呼ばれていたという。

「脚の変形している部分には包帯テープが巻かれていて、とても痛々しい状態でした。ほかの子猫たちは行き先が決まっていることが多かったのですが、はるだけが未定だったんです」

センターのスタッフからは、こうした脚の変形は虐待による可能性が高いと説明を受けたという。

その影響なのか、はるくんは人間への警戒心が非常に強かった。

「はぐみぃハウスを立ち上げたばかりのころで、はるが逃げ回るのを見て『本当に面倒を見きれるのか』と悩みました。でも、こういう子を助けるのが保護団体の役目だと思い、引き出しを決めました」

「断脚した方が」と言われたことも

保護後も心配は尽きなかった。

ハンディキャップがある猫は、里親が決まりにくい。後から保護された猫たちが次々と新しい家族のもとへ巣立つ姿を、複雑な思いで見送っていたという。

「断脚した方がいいのではと言われたこともあり、何度か病院で診てもらいました。でも、その必要はないと言われて安心しました」

歩くたびに変形した部分が床にこすれ、出血することもあった。

当初は保護テープを巻いていたが、獣医師から「皮膚を厚くした方が将来的に良い」と助言を受け、あえて巻くのをやめた。すると、徐々に出血も減っていったという。

また、体重が増えると脚への負担が大きくなるため、おやつを控えるなど体重管理にも気を配った。

心を開くきっかけは「ちゅーる」

人を怖がっていたはるくんが変わるきっかけとなったのは、おやつの「ちゅーる」だった。

「大好きなちゅーるをあげ続けるうちに、『この人たちはおいしいものをくれる』と学んだようです」

少しずつ距離が縮まり、触らせてくれるようになった。それでも、過去に怖い思いをしたはずのはるくんは、人を攻撃することがなかった。

「嫌なことがあっても、逃げるだけでした。ハウスに来て約1カ月半後、初めてひざの上で寝てくれたんです。うれしくて動けませんでした」

長い時間をかけて築いた信頼関係だった。

「初めて飼う猫が、はるで大丈夫か」

転機が訪れたのは、里親募集サイトを通じて現在の飼い主さんから申し込みがあったときだった。実は担当者は、猫を飼った経験がないという話を聞き、「初めてなら別の子の方がいいのでは」と考えていたという。お見合い当日も、別の猫を勧めた。

しかし、里親希望者の気持ちは変わらなかった。

「一通り見た後も、『はるがいい』とおっしゃったんです。そのとき、この方と出会う運命だったのだと思いました」

一方、里親さん(現在の飼い主さん)もまた、はるくんに強くひかれていた。

「写真を見たときに威風堂々としていて、『自分もこんなふうにありたい』と思いました」

脚への不安はあったものの、「どんな猫でも病気やケガをする可能性はある」と考えたという。

「ここで迎えなかったら、ずっと気になり続けると思いました」

そうして家族になった。

今では家族を支える「大黒柱」に!

譲渡から間もなく1年。かつて人間を見るだけで逃げ回っていた猫は、今ではまったく違う姿を見せている。

飼い主さんによると、帰宅時間になると窓辺で待っていてくれるほか、朝はそっと起こしにくることもあるという。さらに、虫退治までこなす頼もしい存在だ。

寒い季節には冷えた足を温めてくれ、食事の支度中や出勤前には静かに見守ってくれる。

「はるのペースに合わせているつもりなのに、いつもこちらが合わせてもらっているんです」

また、保護当時は人を恐れていたはるくんが、今ではよく“おしゃべり”もするようになった。

「自分の言葉で一生懸命に気持ちを伝え、家族を癒やしてくれる大切な存在になっています」

その姿を見ていると、保護主(はぐみぃハウス)も「大黒柱になった」と感じるという。

「不自由だから不幸」ではない

担当者は、はるくんとの出会いを通じて大切なことを学んだと話す。

「『体が不自由だから、かわいそう』というのは、人間の勝手な思い込みでした。はる自身は、そんなことを気にしているようには見えません。いつも全力で生きていました」

助けたつもりだった。けれど、本当に救われていたのは人間の方だったのかもしれない。

「傷つき、人間を怖がっていた子が、もう一度人を信じて幸せをつかんでくれた。その姿が私たちに希望を与えてくれました」

そして今、はるくんは飼い主さんにとって、かけがえのない家族となっている。

「はるちゃんを迎えて後悔しているのは、いつか虹の橋を渡ってしまうことです。『長生きするんだよ〜』と、はるちゃんに言い聞かせております」

ハンディキャップは、不幸の理由にはならない。そう教えてくれたはるくんは、今日も大好きな家族の帰りを窓辺で待っている。 

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