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通勤電車に「子ども連れ」を意識したフリースペース、最近なぜ増えている? 国土交通省の子育て世帯アンケートから垣間見える「望み」

新田 浩之 新田 浩之

近年、新しく登場した通勤電車の車内に、フリースペースを設ける例が増えています。フリースペースは、ベビーカーが置け、子ども連れを意識した設備となっています。しかし、ベビーカーを置けるミニスペースは平成の時代から存在していました。なぜ、このようなフリースペースが増えているのか。国土交通省のアンケートから考えてみました。

各社工夫をこらすフリースペース

まずは、近年登場した通勤電車におけるフリースペースの設置例を見ていきます。今年1月に登場した京王電鉄の2000系は5号車(10両編成)に大型フリースペース「ひだまりスペース」を設置しました。「ひだまりスペース」はドア間のロングシート1シート分を使い、座席は設置せず、車いすやベビーカーが置ける空間となっています。側面の大型窓は子どもが景色を見えやすくするために、高さを低くしました。

一方、近畿日本鉄道は2024年登場の8A系から、フリースペース「やさしば」を設置しました。「やさしば」は各車両の中央扉付近に2カ所あり、ベビーカーが置けるスペースと椅子を設置しました。

また、2025年に登場した東武鉄道80000系にも、「やさしば」に類似したフリースペース「たのしーと」が設置されています。

以前からベビーカー向けのスペースはあったが

実はベビーカーを置けるスペース自体は平成の時代から存在しています。現代の通勤電車では、少なくとも車端部にベビーカーや車いすが置けるミニスペースがあります。うがった見方をすれば「ミニスペースがあるのだから、わざわざフリースペースを設置しなくてもいいのでは?」と思うかもしれません。

ここで、昨年11月に国土交通省が発表した「公共交通機関等におけるこども連れの移動環境 整備促進に関するアンケート調査結果報告書」を見ていきます。

これは、公共交通機関を利用する際の子育て世帯の困りごとやニーズなどを把握するために行われたアンケート調査です。回答者5,553人の属性は「自身や家族が第一子を妊娠中である」、「12歳以下のこどもがいる」、「こどもはいるが、全員が1 3歳以上である」、「こどもはいない」で、「12歳以下のこどもがいる」が全体の89%を占めました。調査期間は2025年7月〜8月です。

「お子さまと一緒に鉄道を利用する際の困りごとについて、教えてください(当てはまるものすべて回答)」という問いのうち、「日常的な外出」の項目に絞ると、1位66.8%は「他人の目線などが気になり、混雑時にこどもと一緒に利用しにくい」でした。「車内にベビーカーや荷物を置くためのスペースがない、あるいは少ない」は3位64.9%でした。

1位と3位の項目から、「混雑時でも他人の目線が気になりにくく、ベビーカーも設置できるスペース」を子育て世代は望んでいる、と推測できます。

実際に、近鉄の「やさしば」に座ると、他座席がロングシート時の場合は、向かい合う乗客からの視線を直接合わせることなく座ることができます。また、隣席からの視線も届きにくくなっています。

個室ではないため、完全に他人からの目線をシャットアウトはできないでしょうが、多少は軽減できると思います。

少子高齢化の流れの中で、鉄道会社は子育て世代を誘引するために、あらゆる策を打ち立てています。新たに設置されたフリースペースと国交省のアンケート結果を見ると、単にベビーカー分のスペースを設置するのではなく、利用者に寄り添った姿勢が垣間見られました。

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