伝統的なおせち料理の食材であるクワイの生産農家が、京都府内で激減している。青果卸の京都青果合同(京都市下京区)が取引する農家はかつて10軒以上あったが、この十数年で一気に減り、現在は2軒のみとなっている。昔から京都の正月料理には欠かせない存在とされてきたクワイに、何が起きているのだろうか。農家を訪ねた。
京都市伏見区の竹田地域。住宅街の所々に畑が広がる。その一角に、昨年12月に収穫した後のクワイの茎や葉が置かれていた。
「水を張って栽培するんですよ」。葉を広げて見せながら教えてくれたのは、農家の西村美彦さん(48)=同区。京都市中央卸売市場で卸すクワイの7~8割を生産している。
クワイは、大きな芽が出ることから「めでたい」を連想させる縁起の良い食材として、昔からおせち料理で用いられてきた。
西村さんも30年間作り続けてきたが、2025年は生産量を前年の3分の2ほどにまで減らした。「クワイの栽培は大変な手間やコストがかかる一方で、消費が減っている。周辺の農家も作るのをやめてしまい、竹田ではうちだけになった」
クワイの栽培は6カ月かかる上、水生植物のため病気になりやすく水の管理も大変という。収穫も中腰の姿勢のまま、くわで実を掘り起こす作業のため、時間と労力が必要となる。
一方で、洋風や中華風といったおせち料理の多様化により、和風おせちの定番であるクワイの需要が減った。現在、料亭など一部の顧客が京都産にこだわって買い求めるものの、量が少ないため値段が高騰している。
京都青果合同によると、クワイの25年の取扱量は770キロで、10年前の3分の1以下となった。西村さんは「伝統野菜なので、絶やしてはならないという思いで作っている。正月の縁起物として、多くの人に季節を感じながら食べ続けてほしい」と話す。