「切り口が赤くなった里芋が食べられないor傷んでるなんて誰か言ったの?!?!」―。今月初め、ある農家のツイートが話題を呼びました。ねっとりホクホクの食感のサトイモですが、店員やお客さんに切り口などの変色を「カビ」などと勘違いされて返品や廃棄されることが相次いでいるのだとか。悲痛の声を上げた農家に取材しました。
サトイモは、実は低カロリーで食物繊維が豊富。ダイエットに最適な上、独特のねっとり成分が鼻やのど、胃の粘膜を保護し、免疫を高めて風邪を引きにくくする、この季節にぴったりの食材です。
ツイートは小池菜摘(@natsumikoike)さんのもの。「なんか売れないなぁとおもったら委託先のパートのおばちゃんに『カビでしょ?全部捨てるわよ』って言われて衝撃…。赤くなってるのは酸素に触れたから抵抗するために抗酸化物質アントシアニン出してるのよ!健康な里芋よ!」と訴えたところ、これまでに2.3万件のリツイートと2.8万のいいねが寄せられています。
小池さんは、曽祖父の代から続く農家を継いだ夫について岐阜県中津川市へ移住。現在は1.5町の田畑で、サツマイモとサトイモを育てるほか、長芋やじゃがいも、落花生、飛騨・美濃地方の伝統野菜の「きくごぼう」などを作り、地域のスーパーで委託販売しています。
ところが、葉や根を落とした切り口が赤く変色したサトイモがよく返品されていたそうです。「よくあるどころか、あまりにも毎回で、『見た目が悪いからって…』と思っていましたが、お客様が選ばないのはまだしも、お店の方で下げてしまう判断をするということは何か間違った知識が蔓延しているのでは?と思いたずねたところ、その誤解が発覚したのです」と振り返ります。
サトイモは熱帯アジア原産で、「主に10~11月ごろに収穫後、熟成保管され、栄養も食味もベストな時期に出荷する」(小池さん)といいます。だから「赤くなるのはサトイモが生きている証拠」といい、「そのまま食べてももちろん無害ですし、白くしたければ米のとぎ汁で煮たら白くなります」と小池さん。「生きてるだけでゴミ扱いされた里芋が過去どれだけ居たんだろうと思うといたたまれません」と嘆きます。
これまで返品分は加工と自家消費に回していたそうですが、2カ月ぐらい経って調理しても「全然大丈夫だった」とか。食べられないのは「腐ってドロドロになるか、茶色くコルク化したもの」といい、「日が当たって緑になった部分も、ジャガイモと違って毒ではありません。むしろ気を付けるべきは、生のまま冷蔵庫など寒い場所で保管した場合に起きる『低温障害』で、内部まで赤茶色の点々やスジができます。これも毒ではないので普段より長めに火を通せば食べられますが、傷みも早くなります」といいます。