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キャッシュレス派の会社員、現金持たずにラーメン満喫→「当店は現金のみの取り扱いです」の貼り紙に動揺→店外のATMに行こうとしたら店員から一喝された!【弁護士が解説】

長澤 芳子 長澤 芳子

普段から支払いのほとんどをスマートフォンの決済アプリやクレジットカードで済ませている30代の会社員Aさん。ある日、仕事帰りにずっと気になっていた評判のラーメン店を訪れました。期待通りの味に満足し、最後の一滴までスープを飲み干してレジに向かいます。

そこでAさんは「当店は現金のみの取り扱いです」という小さな貼り紙を見つけ、目を見開きます。いつも通りアプリ決済をしようとしていたAさんは、慌てて財布の中の現金を確認するのでした。しかし財布には1000円札すら入っていません。

無銭飲食になってしまうと慌てたAさんは、コンビニのATMに行くために店を出ようとします。すると店員がAさんの肩を掴み「もしかして食い逃げするつもりですか!」と詰め寄ってくるのでした。

このままでは店員に通報されてしまうAさんは、一体どのように対応したらいいのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。

最初から払う気があったなら「罪」にはならない?

ー最初から払う気があれば無銭飲食の罪になりませんか?

最初から支払う意思があったのであれば、刑法上の「詐欺罪(無銭飲食)」には該当しません。詐欺罪が成立するためには、最初から「払うつもりがないのに店員をだまして注文した」という意図が必要だからです。

しかし、店側からすればAさんが本当に払うつもりだったかどうかは判断できません。もし黙って店を出てしまえば、たとえATMに行く目的であっても、客観的には「食い逃げ」とみなされ、警察に通報される可能性が高くなります。

そのためAさんは今からでも遅くないので、現金がなくてATMへ行こうとしたことを店員に伝えることが必要です。

ー店員さんに疑われないための誠実な伝え方のコツは?

「おいしかったです。でも、現金の持ち合わせがないことに今気づきました。本当に申し訳ありません」と、率直に謝罪と感想を伝えることが大切です。

その上で、「すぐにそこのATMでおろして戻ってきます」と解決策を具体的に示してください。このとき、最も重要なのは「自分は逃げ隠れしません」という証拠を提示することです。

ー免許証やスマホを預けるのは法的効力がありますか?

法的な「質権(担保)」としての効力は薄いですが、事実上の「誠意の証」としては有効です。特にスマホは現代人にとって手放せない貴重品であるため、店側にとっても「これを置いていくなら逃げないだろう」という安心材料になります。

ただし、店側が無理やり「免許証を置いていけ」と強要することはできません。あくまでAさんが自発的に「信頼してもらうために、これを預けていってもいいですか?」と提案する形をとるのがスムーズです。

ー相手を安心させる「借用書」には何を書くべき?

高価なスマホなどを預けることに抵抗がある場合は、メモ用紙で構わないので、「現在の氏名、住所、電話番号」「本日支払うべき金額(例:ラーメン代850円)」「15分後に戻って支払いますという期限の明記」「自分の身分証明書の番号(免許証の番号など)」を書いた借用書を作ってください。

ここまで具体的な情報を書き残していけば、店側も「悪質な食い逃げではない」と判断してくれるはずです。キャッシュレスが普及している現代では、こうしたトラブルは珍しいことではありません。まずは落ち着いて、誠実に交渉することが解決への近道です。

◆北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士
「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。

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