大切な家族が突然倒れたという報せを受けたら、胸が締め付けられるような不安を感じることでしょう。イッチャマンさんがInstagramに投稿した3作品『大きな変化。』『わかりやすい、ひと言。』『え!?』では、そんな身内の突然の入院にまつわる出来事が描かれています。
ある日、作者のもとへ「91歳の父が救急センターに運ばれた」という緊急の連絡が入るところから物語は始まります。急いで駆けつけると、そこにはいつになく弱り切った父の姿がありました。楽しみにしていた旅行の話を持ち出し、懸命に励ましの言葉をかけますが、父からは「もうだめだ」と弱気な言葉が返ってきました。
その後、高齢者は1日歩かないだけでも急激に筋力が衰えてしまうため、父親は介助を受けながらもできる限り動くよう努めます。すると次第に呼吸が楽になり出し、表情にも明るさが戻ってきました。また、リハビリを兼ねた散歩が許されるようになると、食欲も回復します。
食欲が回復してくると、次は身の回りのおしゃれにも気が回るようになり、新しいパジャマをうれしそうにはしゃぎながら着るまでになったのです。
そんなある日、主治医が病室に現れます。父の容体について説明を始めた先生が放った言葉は「お父さん、入院当初に比べて、ずいぶん『活き』がいいです」という意外なものでした。その表現は非常にわかりやすく、快復を喜ぶ言葉ではありましたが、作者は「わかりやすいけど、魚っぽい」と、心の中で思わず突っ込んでしまいます。
また別の日、父のお見舞いに言った作者は病院で数時間を共に過ごし、父から「遅くならないうちに帰りなね」と促されます。見送ろうとする父に作者は「大丈夫だよ」と伝えますが、それでも「気をつけてね」と見送ろうと1歩踏み出した瞬間、ハプニングが起こります。なんと父の鼻に通していた酸素チューブに引っ張られ、「バイーン!」と跳ね返ってしまったのでした。
元気になっていくお茶目な父が可愛らしい同作について、作者のイッチャマンさんに話を聞きました。
医師が放った、「粋(イキ)」な言葉
ーーお父さまが救急搬送されたと聞いたとき、どんなお気持ちで病院へ向かわれましたか?
体調に気を配っていた父が救急搬送って、もしかしたら…と〝よくないこと〟しか浮かばず、約1時間半の車の中では、ただただ祈ることしかできませんでした。
ーー入院後、少しずつ元気を取り戻していく姿を見て、特に印象に残っている変化は何でしょうか?
母がいなくなってから、生前整理を少しずつはじめていて「もう物は増やさない」と言っていたのに、「みんなで一緒に旅行に行きたい」という思いから「新しいパジャマが欲しい」と。そして、それを着てとてもうれしそうにピースしていた姿が一番、印象に残っています。(この後歩ける姿を見せたかったようで、小走りしていました。笑)
ーー入院前と比べて、お父さまとの距離感や接し方に変化はありましたか?
母を送る会(葬儀)の時、わたしは91歳の父の腕にすがりついて「お父さんまでいなくなったら、わたし生きていけないからね」って泣き崩れたんです(笑)。それもあってか、母をおくったあと父は凛として、とても優しく大きな心で包んでくれていました。なので、「入院」という心配をかけてしまった思いから、退院したあとは、なおさら私の心配ばかりしていたように思います。
ーー先生の「活きがいい」という表現を聞いたとき、どのように感じましたか?
お医者さんの口からはじめて聞くまさかの言葉に、心の中で「上手いっ!」と思いました(笑)立場柄、そういう〝粋〟な言葉で緊張を解いてくださるって、あまりできることではないと思うので、本当に良い先生に出会ったと思います。
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