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「家の中で転んで大けがしたら…」足腰が弱った70代母を案ずる娘→たった一度の転倒が寝たきりを招く…見落としやすい家庭の危険【社会福祉士が解説】

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「最近、一人暮らしの70代の母が家の中で転倒して大怪我しないか心配…でも、何から始めたら良いかわからない…」

そう語るのは、40代女性、専業主婦の高木ゆきえさん(仮名)。70代の母は、高木さん一家とは同じ県内に住んでいるものの、車で20分ほどかかる距離に離れて暮らしています。数年前に父は亡くなったため、母は一人暮らし。最近、足腰が弱くなった母を見て、今後を心配していました。

高齢者の転倒の頻度は、一年間に約30%と若い世代と比べて高いと言われています。

若い世代では気にならないような少しの段差や滑りやすい床でも、高齢者にとっては大怪我につながるケースも少なくありません。今すぐ家庭でできる転倒防止策とは、一体何でしょうか。春の大掃除・片付けのタイミングに合わせて、今一度家の中を見直してみませんか?

高齢者の転倒による3つの大きなリスク

高齢者には、転倒してしまう前の予防が必要です。

若い世代と比べて転倒発生頻度が多いと言われている一方で、なぜ予防が必要となるのでしょうか。転倒予防を必要とする、3つの理由をご紹介します。

◇①転倒により、怪我や骨折する頻度が高い

高齢者は、若い世代に比べて筋力も衰えており骨密度も低下しています。少しつまずいて転ぶだけでも、大きな怪我や骨折につながる可能性があります。

◇②長期の入院やリハビリを要する場合が多い

高齢者は、若い世代に比べて体力が落ちているため、回復するまでにも時間がかかることも少なくありません。骨折してしまった時に外科治療を要する場合には、元のような日常生活を送れるようになるまでに、長期の入院・リハビリを要するケースがあります。

◇③家に閉じこもり、筋力の低下による寝たきりへとつながる場合も

転倒による恐怖心から、外出することが億劫になり、家に閉じこもる高齢者もいます。家に閉じこもってしまうと、特に下半身の筋力が低下してしまい、寝たきりになる場合もあります。

転倒を予防するためのポイント

「高齢者には転倒の予防は有用とはわかってはいても、何から対策をしたら良いかわからない…。」

多くの人はそう思うかもしれません。

高齢者の転倒を防ぐためには、一体何が必要なのでしょうか?転倒予防策をご紹介します。

◇床材は滑りにくいものを使う|転倒しやすい居間や寝室

居間や寝室など日常的に過ごす場所では、滑りにくい床材を使用しましょう。

お風呂場はシャワーの水で滑りやすいため、マットやすのこを敷くことも有効ですが、その場合は動かないように全面に敷き詰めるようにします。

◇手すりをつける|階段や浴室

階段や浴室には、握りやすい手すりをつけることで転倒の予防が可能です。

階段に手すりをつける場合には、階段の踏み幅が一定になるような、直線の手すりを選びます。

また、手すりをつける際に加えて、階段の勾配が緩やかで段の高さが一定かを確認しましょう。さらに、階段のふち部分に滑り止めをつけることも有効です。

◇足元の段差を解消する|玄関や廊下

玄関や廊下などの足元の段差は、極力なくすようにしましょう。

玄関は、段差が大きいと出入りがしにくく転倒しやすい場所の一つです。

スロープや手すりの設置で段差を解消するようにしましょう。あまりにも段差が高い場合には、踏み台の設置を検討します。

◇足元には照明をつける|小さな段差や階段

小さな段差や階段には、照明をつけることで転倒の予防ができます。照明をつける際には、照度を十分保つとともに、かえって転倒を招かないように、濃い影ができていないか注意を払いましょう。

介護保険を使った住宅改修とは?

要支援・要介護者が、介護に必要なための住宅改修を行う際に、必要書類を添えて事前に申請書を提出し、工事完成後に領収書などの費用発生事実がわかる書類を提出することで、実際の改修費用の9割相当が償還払いで支給されます。なお、やむを得ない事情がある場合には、工事完成後に申請できる場合があります。

支給額は、原則、支給限度基準額(20万円)の9割(18万円)が上限となります。

※所得に応じて給付割合が変わることもあります。

◇住宅改修の種類

・手すりの取付け
・段差の解消
・滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
・引き戸等への扉の取替え
・洋式便器等への便器の取替え
・その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

◇介護保険を使った住宅改修の流れ

①住宅改修について、ケアマネジャー等に相談

最初に、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに「住宅改修を検討している」と相談しましょう。必要な書類や手続きについてサポートしてもらえます。

②申請書類等の提出・確認

利用者は、住宅改修の支給申請書類の一部を保険者へ提出します。その後、保険者は提出された書類等により、保険給付として適当な改修かどうかを確認します。

③施工〜完成

申請内容を踏まえて住宅改修工事を行い、完成後に領収書など必要書類を準備します。

④住宅改修費の支給申請・決定

利用者は、工事終了後領収書等の費用発生の事実がわかる書類等を保険者へ提出することで「正式な支給申請」が行われます。

保険者が、事前に提出された書類の確認をし、工事が行われたかどうかの確認を行った後、当該住宅改修費の支給を必要と認めた場合、利用者に住宅改修費が支給されます。

(厚生労働省「介護保険における住宅改修」より参考)

「転んでから」ではなく「今だからこそ」の備えを

高木さんは、早速お母様のために、階段の段差に滑り止めをつけたり手すりの設置も検討しているようです。

「介護のための住宅改修に介護保険が使えるとは知らなかった」

高木さんの表情は、どこか前向きに見えました。

高齢者の転倒は、一度転倒してしまうと長く辛い戦いになることも、珍しくはありません。「転んでから対策しよう」では遅いことが、往々にしてあるのです。

「転んでから」ではなく「今だからこそ」の備えを。帰省や大掃除などをきっかけに、見直してみませんか。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)
社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

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