春の日差しが心地よい公園で、40代の会社員Aさんは同僚たちと満開の桜の下でお花見を楽しみました。宴が終わり周囲を片付けると、大量の空き缶や食べ残しが入ったゴミ袋が残りました。Aさんは指定のゴミ捨て場へ向かいましたが、そこはすでに山のようなゴミで溢れかえっています。
そこでAさんは「ここに置いておけば、明日の朝にでも清掃の人が片付けてくれるだろう」と自分に言い聞かせ、ゴミ袋を少し離れた木陰に置いて帰宅しました。しかし数日後、Aさんのもとに警察から連絡が入ります。付近に設置された防犯カメラの映像から、ゴミを放置した人物としてAさんが特定されたのです。
放置したゴミは法的にどのような罪に問われるのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。
「ゴミ箱が満杯」でも言い訳にはならない
ーゴミ箱が溢れていたからといって、ゴミを置いて帰る行為は、何罪にあたりますか?
「廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)」違反にあたると考えられます。いわゆる不法投棄です。たとえ公園のような公共の場所であっても、指定された場所以外にゴミを捨てることは禁じられています。
「ゴミ箱が満杯だった」というのは、あくまでAさんの個人的な事情にすぎません。ゴミを捨てられないのであれば、発生させた者が責任を持って持ち帰るのが原則です。それを放置して立ち去った時点で、不法投棄という犯罪が成立します。
ー不法投棄とみなされた場合、どのような罰則が科されるのでしょうか?
不法投棄の罰則は、私たちが想像するよりもはるかに重いものです。個人の場合、5年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
最近では自治体や警察が不法投棄の取り締まりを強化しており、防犯カメラの性能向上も相まって、投棄者が特定されるケースが増えています。
ー「少量のゴミ」であれば、厳重注意で済むのではないですか?
「少しだけなら大丈夫だろう」という考えは極めて危険です。実際に、飲み残しの液体が入ったペットボトル3本を田んぼに捨てたとして、廃棄物処理法違反の疑いで男が逮捕された事例もあります。
たとえコンビニ袋一つのゴミであっても、捨てる場所を間違えれば、一生消えない前科がつくリスクがあることを知っておくべきでしょう。
「みんなが捨てているから」という同調圧力に負けてはいけません。ゴミ箱が溢れている光景は、その場所の管理能力を超えているというサインです。
お花見を計画する段階で、ゴミ袋を多めに持参し、各自が持ち帰るルールを徹底してください。警察から電話がかかってきてから「マナーの問題だと思っていた」と後悔しても遅いのです。
◆北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士
「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。