風俗店を経営する企業は大小さまざまで、なかには全国チェーンの漫画喫茶『マンボー』や個室ビデオ試写室『金太郎』などを経営する巨大企業『森下グループ』も存在しています。しかし2026年1月末に、その森下グループの傘下企業『マリングループ』が運営するソープランドが一斉閉店するニュースが飛び込んできました。
日本各地に合計21店舗存在していた大手グループでしたが、ある日を境に「今日で閉めます」と驚きの宣言が……。通告を受けたスタッフとキャストは大慌てし、中には「明日の予約が埋まっていたのに!どうしたらいいの?」と嘆く女の子まで現れたのです。
このような事態では、キャストはそのまま仕事を失ってしまいます。こうなってしまったキャストは、一体どのように転職活動をするのでしょうか。
即行動・ニート・スカウト待ち!ナイトワーカーのてんやわんやな転職活動
急に職場を失ったら、誰もが頭真っ白状態に陥るもの。「あ、明日からニートできる!ラッキー」なんて楽観的な人は珍しいでしょうから、大多数のナイトワーカーはすぐ職探しに励みます。特に顧客をたくさん抱えるキャストはプロ意識も高く、どのお店にも「ぜひウチで」と良い対応を受けられるため、閉店とともに長期ニートへ突入する例はほぼ見られません。
とはいえ、むやみに動いても上手くいかないことが多いのも転職活動の難しいところ。風俗店キャスト歴6年のRさん(仮名)は過去2回ほど閉店を経験した“苦労人”です(以下『』内、Rさん談)。
『1回目は地元の小さなデリバリーヘルスで、出勤しようと思ったら店長と連絡が取れず、後日閉店したことを知らされました。2回目は事前に閉店が決まっていたパターンですね。
最初のデリに関しては一体何が起きているのか分からず、実情を知らされるまで身動きが取れませんでした。諦めて他の店にすぐ行くコもいたんですけど、迷っていた私は気づいたら1週間経っちゃってて。この間無収入で暮らしたのをよく覚えています。早く動けば良かったと後悔しました。
でも、速攻で別のお店に乗り換えたコが“なんとなく”で入店を決めたから、やばいところに引っかかっちゃって。結局すぐやめてたんですよ。知人の失敗を見て即行動が全てじゃないなと思ったので、2回目の時はじっくり転職活動に励みました』
彼女の話によると、売れっ子は引く手あまたのためSNSなどで他店舗からのスカウト待ちをすることもあるそう。事前に閉店が決まっていようと、そうでなくとも、女の子の投稿から次へ繋がる可能性もゼロではないのです。
『“お店探しています!元ランカーです!”とか、“○日にお店を退店するんだけど、次はどうしよう?”みたいなことを書くと、DMでスカウトされることもあります。あとはそれを見た同業のコから紹介を受けるとか。だから自分からパッパと動くだけではなく、スカウト待ちをするのも1つの方法なのかもしれません』
閉店のみならずクビも……「明日ニート」の危険性
夜職キャストはほとんどの場合が業務委託のため、労働基準法が適用されません。職を失ったら収入はゼロで退職金もなし、理不尽な理由での解雇も有り得る世界なのです。「明日から来ないでいいよ」のみならず、勤務中に「もう帰って」という急なクビ切りも頻発しています。
『1店舗目の閉店したデリはかなり理不尽なお店で、店長の好き嫌いで女の子の扱いが大幅に異なりました。ぶっちゃけ私は好かれていたんですけど(笑)、嫌われるとすぐに干され、難癖をつけてクビにされるのです。お客さんを持っていたランカーのAちゃんでさえ、店長と揉めてその場でクビになってましたもんね。そんなワンマンな店だったから、閉店したのは超納得でしたが……』
どんな理由があれど、クビ通告をされた時点で無職。すぐに切り替えて次の職場が見つかれば安心なものの、歓楽街は想像以上にコミュニティが狭いのです。やめ方が悪かったり、周囲から評判の良くないお店から移ってくると、受け入れを渋られることもあります。
Rさん曰く、1店舗目の同僚で店長と揉めてクビになってしまったAさんは、その後も周辺のお店で働けず、“転職活動”に苦労してしまいました。
『Aちゃんが退店したあと“県外でいい店知らない?出稼ぎとか紹介できないよね?”ってLINEがきたんですよ。だから“なんで?”って返したら、ワンマン店長と他の店が知り合いで、元在籍の周辺はすべて面接拒否されたと言うんです。ウチの地元は本当に狭くて数店舗しかないですし、ワンマン店長がその中でドンっぽい存在だったから、悪評を回したのかも』
Rさんにとっては天国だったお店でも、Aさんにとっては地獄。そこへクビや閉店といったリスクを抱えながら働くなど、どう考えても大変……。夜職が高収入な理由にはこのようなリスクも含まれているのでしょう。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや) 元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター
2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。