印象的な言葉は心の底にずっと残り続けるという経験がある人は少なくないでしょう。えんたーさんの作品『のろいむすび』は、中学生時代のある発言がきっかけで生まれる友情物語。同作はpixivに投稿されると、1600ものいいねがありました。
中学生の主人公・鷹野は、いきなりクラスメイトの富士宮から「私ね、18歳になったら死のうと思うの。女の人ってね18歳のときが一番キレイなんだって」「だから一番キレイなときに終わりたいなって」と告げられました。鷹野はその言葉に大きな衝撃を受けます。
鷹野と富士宮はかつて同じクラスになったものの、付き合うグループが違うためあまり話したことはありませんでした。鷹野は富士宮の言葉があまりにも気になり悩みすぎた挙げ句に、授業を疎かにして先生から怒られてしまいます。
それからというもの、鷹野は自身の誕生日を迎えるたびに富士宮を思い出し続けました。
それから時は経ち、鷹野の19歳の誕生日前日。鷹野は商業施設でくつろいでいると、偶然にも富士宮を発見しました。富士宮は「やっぱりあれ覚えてくれてたんだね?」と笑顔ですが、鷹野は「こっちは自分の誕生日が来るたびに呪いの言葉を思い出してたんだよ!?」と詰め寄ります。
富士宮はなぜあのとき「18歳になったら死ぬ」と言ったのか、それは当時、自分の取り柄が美しさしかないと思っていたからでした。唯一の価値が失われたら生きている意味もないのでは?と思っての発言だったそうですが、「今思うと中二病?」と富士宮は笑います。
ではなぜ、あまり付き合いのない鷹野に話したのかというと、それは富士宮自身も鷹野に『呪い』をかけられていたからでした。小学校の授業で、鷹野は「毎朝教室の植物に水をあげてて、すてきです。」という手紙を富士宮に書きました。
そのときに富士宮は「鷹野さんと友達になりたくなる呪い」にかけられていたそう。その話を聞いた鷹野は「私も呪いかけてたんならお互い無罪!」と言い、2人で笑顔になります。それからというもの、2人は誕生日前にスマホのメッセージにて『生存確認』をすることが恒例行事となるのでした。
読者からは「この2人に呪いをかけられた!」「自分も誕生日前になるとこれを思い出しそう…」などと声が挙がっています。そこで、作者のえんたーさんに話を聞きました。
卒業後に連絡が途絶えてしまった友人への後悔から描いた
―『のろいむすび』を描いたきっかけについて教えてください
学生のころ、毎日会って喋るのが当たり前すぎて連絡先を交換しておらず、学校を卒業してから完全に交流が途絶えてしまった友人がいました。あのころもう一歩踏み込んでいれば今でも友達だったのかな、というちょっとした後悔がきっかけです。
―同作は言葉の呪いをテーマにして描かれていますが、えんたーさんご自身が気になり続けている言葉はありますか?
同作の冒頭で使った「綺麗じゃなくなる前に死にたい」という言葉です。たしか朝の情報番組のインタビューで女の子がそう答えていたと記憶しています。自分とは全く無関係の人の言葉ですが、あまりに強烈な言葉でずっと心に刺さっていました。
―同作の他にどのような作品を発表していますか
おととし個人的に連載していた「放課後みちすがら」という作品が去年から各電子書籍ストアで配信中です。本作とは違うコメディ漫画ですが、もしご覧頂けましたら幸いです。
<えんたーさん関連情報>
▽pixiv
https://www.pixiv.net/users/1142885
▽電子書籍『放課後みちすがら』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0F1MCYJLL