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【漫画】中高一貫校に通う息子、大学受験だけで100万円が消えた 1浪の果てに「最低でも早慶」のプライドが砕け散る…立ち尽くした夜

松波 穂乃圭 松波 穂乃圭

「この学校に入ったのだから」という空気の中で始まっていた大学受験

埼玉県在住のRさん(50代)の息子は、中学受験を経て都内の難関中高一貫校に進学していました。中学入学当初は、それが誇らしくもありました。しかし成長するにつれ、その経歴は、家庭内でも学校内でも、静かな重圧として存在するようになります。

「最低でも早慶」

誰かがはっきりとは口に出さなくても、その言葉は常に前提として漂っていました。卒業生の進学実績、保護者同士の会話、学校の進路指導。現役時代の受験は、挑戦というより「到達して当然のライン」を求められる戦いだったと、Rさんは振り返ります。

結果は全て不合格。浪人が決まったとき、Rさんは落胆よりも先に、「一年やり直せる」という感覚を抱いていました。自身も浪人を経験しており、息子の周囲にも同じように浪人を選んだ同級生が多かったことから浪人生活に対して過度な悲観はありませんでした。むしろ、次こそはと前向きな気持ちで、明るいスタートを切っていたのです。

一浪の今年は、慎重すぎるほど慎重に出願を組んだはずだった

一浪して迎えた今年の大学受験。Rさんは、絶対今年で終わらせるつもりでした。大学入学共通テストを受験し、共通テスト利用で私立大学5校。一般選抜は、早稲田大学の文系系統5学部、慶應義塾大学の文系学部を4学部。現役時代の反省を踏まえ、「最低でも早慶」という意識を残しつつも、出願数を増やして現実的に組み立てたつもりでした。

「ここまでやれば、どこかには届く」…。その考えには、中高一貫校に進んだことへのプライドも、どこか混ざっていたのだと思います。

共通テストの結果が、「想定」を静かに崩した

共通テストの自己採点を終えた夜、思うような点数が取れなかったため、Rさん親子の会話はほとんどありませんでした。大きな失敗ではありません。しかし、共通テスト利用で合格を期待できる点数とも言えない。現役時代から「共テ利用は保険」と考えていたRさんは、その保険が機能していない現実を、ここで初めて突きつけられました。

一浪している以上、「来年もある」という言葉は簡単には出せません。中学受験から続いてきた長い受験生活を、これ以上引き延ばすことへの恐怖がありました。

関西私大を加えようとして、締切画面の前で動けなくなった

追加出願を決め、偏差値を下げた共通テスト利用の大学を3校、一般選抜でも3校追加しました。さらに、これまで意識的に外してきた関西の私立大学も視野に入れました。「最低でも早慶」という枠を、ここで初めて大きく越えた瞬間でした。

夜遅く、募集要項を確認するため大学の出願サイトを開いたRさんは、画面に表示された一文を見て、しばらく動けなくなりました。

「出願受付は終了しました」

締切が、すでに過ぎていたのです。共通テスト後でも間に合うと思い込んでいた関西の私立大学の一部は、すでに受付を終えていました。日付を何度も確認しましたが、見間違いではありませんでした。

確認不足で、選択肢を一つ失った。その事実は、想像以上に重く、これまで積み上げてきた「当然ここに行くはずだった」という前提が、一気に崩れる感覚がありました。

出願を重ねるほど、費用と覚悟が積み上がっていく

こうなると、残された大学の中から、出願できる先を拾い上げていくしかありません。偏差値を下げる出願には、最後まで抵抗がありました。一浪して、中高一貫校に通わせてきた親として、この選択でいいのかという迷いは消えませんでした。

同時に、費用が静かに積み上がっていきます。出願料、カード決済手数料、調査書の簡易書留郵送費、受験地までの交通費や宿泊費。全てを合計すると、受験関連費用は概ね100万円に達していました。浪人中の予備校費用は含まれていません。

「最低でも早慶」よりも大切だったもの

現役時代、受験は挑戦でした。しかし一浪した今年、Rさんにとってそれは生き残りをかけた受験でした。今年の目標は、もはや大学名ではありません。「どこか一つ、必ず合格をもらうこと」「春から必ず大学生になること」。それだけでした。

金額に糸目をつけないという判断は、誇れるものではありません。ただ、選択肢を削って後悔する未来と、可能性を広げるために支払う現実を天秤にかけた結果でした。

中学受験から続いてきた長い受験生活の中で、Rさんが痛感したのは、学歴よりも先に守るべきものがあるということです。浪人生を抱える母にとって、受験とは学力以上に、プライドを手放す覚悟が試される時間なのだと、今年ほど強く感じたことはありませんでした。

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