修学旅行の中学生が神社に参拝→集合時間を聞き「それ絶対間に合わん!」 宮司が手助け、後日届いた手紙に感動…

宮前 晶子 宮前 晶子

「本日夕方に神奈川県の5名の学生さんが修学旅行の班行動で、伏見稲荷から電車とバスを乗り継いで当社にお参りに来られました。修学旅行生が来るなんて初めてのことなので、盛大におもてなししようと思っていたら」

学生さんが伝えてきた「16時30分に京都駅集合なんです」という思わぬ言葉に、「え!? もう16時やけど…」と集合時間に間に合いそうもない行程に慌てた宮司ご夫婦。そんな修学旅行生と京都の玉田神社(@JinjyaTamada)の宮司との交流がTwitterで話題になりました。

「怒られても、絶対いい思い出になる、、、青春ってやつ」「京都ミステリーなんかやと、稲荷〜清水寺〜嵐山〜三条大橋〜南禅寺みたいなコースで追っかけっこしてるので、土地勘無い人はもっとコンパクトな街やと思ってる」「いい神社さんとかわいい学生さんの良いお話に優しい気持ち」などのコメントが書き込まれましたが、さて、結末はいかに? 後日談も含め、宮司にお話を伺いました。

初めての修学旅行生に喜んだのもつかの間…

「うちは、地元の人に親しまれてきた小さなお社です。毎月作っている御朱印を目当てに訪れる方はいらっしゃいますが、観光客が来社することはめったにありません」。今回取材に応じてくれた野口さんの家が代々宮司を務めてきましたが、修学旅行生が訪れたことは記憶にないとのこと。

そんななかで、ある日見かけたのが男子学生3人・女子学生2人の一団。話しかけたところ、神奈川県の中学生で修学旅行の班行動で訪れたとのこと。「午のお守りがあることを知って、午年の祖母のために受けに来ました」という女子学生の言葉に、「やさしい子やし、ひとりの希望を聞いてみんなで来るなんて、なんてええ子たちなんや」と心を打たれ、境内を案内しようとした矢先、京都駅に16時半集合という事実が判明。

「久御山から京都まではバス・電車を乗り継いで1時間はかかるんです。あかん、案内している場合じゃない!今すぐ、京都駅に向かわせなくては!と動転して、私・妻それぞれの車で最寄りのバス停まで送り届けました」。

バス停まで向かう車内での会話で、その日の夜は京都市内のホテルに泊まることを聞き、「新幹線に乗り遅れることはない」とホッとしたものの、「ちゃんと駅に着いたかな?」「先生に怒られているのでは?」と心配は募る一方。

「私たちが学生だった40年ぐらい前は、修学旅行中の先生はそりゃもう怖かったでしょう。少しでも時間に遅れたら、集団責任やと言われたもんです。そやから、あの子らも先生に怒られて、嫌な思い出になってるんちゃうか、と夫婦でずっと話していたんです」。やきもきして経緯を説明し、「引率の先生方怒らないであげて下さい」とツイッターに投稿したそうです。

学生のひとりから届いた感謝の手紙には…

事態は新たな展開に入ります。修学旅行から帰った件の女子学生から、班を代表してメールが来ました。そこには、親切にしてもらったお礼、修学旅行が楽しかったことなどが綴られていましたが、京都駅に着いた時に先生に怒られたのかどうかは明記なし。追って届いた女子学生の保護者からのDMに、「歴代1位の遅刻だったかもしれませんが、怒られることはありませんでした」とあり、ようやく安堵しました。

また当日の行動については、事前に班行動の計画書を学校に提出していたこと、その際時間的に厳しいのではないかと先生から指摘を受けつつもとにかく計画通りに行動してみなさいと了承を得たこと、集合時間に遅れそうになった場合は先生と連絡を取り合うことを約束していたこと、などが細かく書かれていたそう。

「学生さんからも保護者の方からも報告いただいてありがたかったです。また、子どもの計画を頭ごなしに否定するのではなく、自主性を重んじている学校の姿勢にも感心しました」と野口さん。さらに、その後、女子学生から直筆の手紙とコーヒーも到着。「あたたかい気持ちにさせていただきました。妻と一緒にコーヒーを飲みながら、いつか5人で来て欲しいなぁ、その時はたっぷりご案内しよう、と話しました」。

野口さんは、なりゆきを見守っていた人たちに向けて、ツイッターで事の顛末を報告。リプライには、「心が、洗われるような良いお話」「報連相がしっかり出来てて お礼もちゃんと言える、素晴らしい」「このような経験こそが、修学旅行の大切な思い出」「学生も、また躾された親御さんも、凄く立派」「一連の出来事に関わられている全ての方がすばらしい!」などの言葉が連なりました。

取材の際も「素晴らしいご縁をいただいて、本当に感謝しています。心に残るできごとになりました」と繰り返し言葉にされていました。

こちらの玉田神社は5月はアヤメとおたまじゃくし、6月は元気よく歌うカエルといった月替りの御朱印とともに、SNS炎上除けのステッカー御守も有名。火難除の御利益をSNSの炎上除にも、との思いで、当社に現存する版木「御霊験名馬火鎮」を元に奉製されたそう。携帯電話に貼り付けていれば、なにか投稿する際に、炎上しないかどうかと考えなおすきっかけにもなります。

◇ ◇

6月は修学旅行シーズン。小学生、中学生、高校生が日本各地を訪れます。行く先々でのさまざまな人との交流は普段の学校生活では味わえないこと。楽しく、すてきな思い出がたくさんできますように!

■玉田神社Twitter @JinjyaTamada
■玉田神社公式サイト https://www.tamada-jinjya.com
■玉田神社Instagram @kyoto.tamata.jinjya

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