「生きていてくれて、本当によかった――」
兵庫県川辺郡猪名川町で、1か月前に保護できなかった子猫が、雪の降る中で無事に保護された。Instagramに投稿された切実な記録は、多くの人の胸を打ち、「涙が出た」「よく頑張って生きてくれた」といった声が相次いでいる。
投稿したのは、ボランティアグループ 「プロテクト♡あにまる 」の代表、高村友佳さんだ。
目の前で鳴いていたのに、保護できなかった後悔
1カ月前、猪名川町内の地域住民から「子猫の声がする」というSOS通報を受けて、高村さんが現場に駆け付けた。しかし、敷地内に入ることを断られ、保護には至らなかった。
「すでに兄弟の子猫は保護できていたので、『どうしてこの子だけ…』という思いが強く残りました。目の前で鳴いているのに助けられなかったことが、本当に悔しかったです」
翌日には鳴き声が消え、「もう死んでしまったかもしれない」。最悪の想像が頭を離れず、悔しさと苦しさに押しつぶされそうな日々が続いたという。
「子猫が死んでもいい」…言葉を失った瞬間
保護を拒まれた際、投げかけられた言葉は、高村さんの心に深い傷を残した。
「とても悲しくて、言葉を失いました。野良猫として生きる厳しさを知っているからこそ、『死んでもいい』という言葉が、あまりにも現実的で…」
怒りを押し殺し、説得を試みたものの、一方的に言い捨てられたように感じたという。
諦めなかった理由は「助けたい、それだけ」
それでも高村さんは、探すことをやめなかった。地域への聞き込みや、「お母さん猫と子猫を探しています」というチラシのポスティングを続けた。
「雪が降る季節に、子猫が外で生きていくのは本当に難しい。探すのをやめるという選択肢はありませんでした」
住民からの目撃情報、餌やりの協力が少しずつ集まり、ついに保護の準備が整った。発見されたのは、最初に鳴いていた庭ではなく、別の住民が手を差し伸べてくれた場所だった。
雪の中での再会、「涙が止まらなかった」
再会の瞬間、高村さんの胸に浮かんだのは、ただ一つの思いだった。
「生きてくれていてよかった、と安心して涙が止まりませんでした。あの時保護できなかったこと、寒い思いをさせてしまったことを、心の中で何度も謝りました」
子猫は保護直後、強い警戒心からパニック状態だったが、やがて落ち着き、ちゅーるを口にした。
「外で懸命に生きてきた分、怖がりですが、早く『人は怖くない』と教えてあげたいです」
推定月齢は生後2カ月過ぎ。命の危険はなかったものの、細身の体から、厳しい環境を生き抜いてきたことが伝わってくる。
兄弟猫との再会は、隔離期間のあとに
子猫は、以前給湯器の中から保護された兄弟猫「バブちゃん」の兄弟だ。再会は待ち遠しいが、病気などを防ぐため、隔離期間をしっかり取る予定だという。
「生まれても消えていく命」をなくすために
今回の出来事を通して、高村さんが強く訴えるのが、TNR(捕獲・不妊去勢・元の場所に戻す)の重要性だ。
「野良猫として生きることが、どれほど過酷なのかを知ってほしい。生まれても消えていく命を、これ以上増やしたくありません」
猫も人も同じ地域で生きている。頭数や環境を管理することで、双方が暮らしやすくなる…その現実を、今回の保護は静かに物語っている。
「寒かったよね。もう大丈夫だよ」
投稿の最後に添えられた言葉は、多くの人の心に残った。
「寒かったよね。もう大丈夫だよ」
1匹の子猫を救うまでに必要だった、時間、勇気、そして地域の協力。この物語は、野良猫問題が“誰かの善意”だけに委ねられている現実と、TNRの必要性を、私たちに問いかけている。