「野良猫を増やさない」。その思いが広まりつつある一方で、実際に行動するのは容易ではありません。2年前の寒さ厳しい年始、Xユーザー・しじみとんさん(@shijimiton)は、生後6カ月ほどのハチワレの女の子「あんこ」ちゃんと出会い、「このままではいけない」という思いがこみ上げました。
「妊娠してしまう…」 子猫の保護を決意
当時、飼い主さんの家には、先住の元保護猫「しじみ」ちゃんと「みとん」ちゃんが暮らしていました。家族のなかには「猫を保護するのはこの子で終わり」という暗黙の了解があったといいます。ところが、2023年1月、思いがけない出会いが―。
「近所で、足どりのおぼつかない猫を見かけるようになりました。ご飯を食べている地域猫のそばに近寄って怒られたり、ボス猫に追いかけられたりしていて、気になったんです」
どうやら女の子だとわかったその子こそ、あんこちゃんでした。当時、生後推定6カ月ほど。飼い主さんは、自然とその姿を目で追うようになり、ある思いがこみ上げてきました。
「このままでは、すぐ妊娠、出産することになるに違いないと思いました。そこで、意を決して保護することを決めたんです」
野良猫として外で暮らすことは、常に危険と隣り合わせ。これ以上、過酷な境遇のなかで暮らす子を増やしてはいけない――飼い主さんは自分にできることを考え、行動に出ました。保護するための準備を整え、慎重に距離を縮め、あんこちゃんを無事に保護することができたのです。
大胆不敵なあんこちゃん 外生活の処世術を披露!?
こうして、飼い主さん家族は予想外ではあったものの、あんこちゃんを家族に迎え入れました。保護猫との暮らしを軌道にのせる流れは、すでに先住のみとんちゃんとの日々で経験済み。あんこちゃんもスムーズに家に慣れてくれると思っていました。ところが、実際はそう簡単ではなかったといいます。
「我先におもちゃで遊び、しじみやみとんに近寄ってシャーと威嚇されてもへっちゃら。2匹が残したご飯をきれいに食べ尽くす、たくましい子です。厳しい外の世界で半年も生き抜くなかで育まれた強さなんだろうと思いましたね」
あんこちゃんは、家での暮らしに慣れていくなかで、先住猫とは程よい距離感で過ごすようになりました。
「3匹は、同居しているだけという感じですね。くっついて寝ることもないですし、毛づくろいし合うこともありません。血のつながったきょうだいだと、また違うのでしょうか」
また、人間に対しては、猫それぞれに相性があるように感じられると、飼い主さんは語ります。
「話しかけたときに鳴いて返す声の量や、夜、一緒に布団で眠る組み合わせ、食事中に膝の上に乗る相手も、猫によって違いますね」
SNSで多くの人を魅了するあんこちゃん
あんこちゃんは、現在3歳を迎えました。保護時は、あどけない顔つきにまん丸なフォルムでしたが、今では威厳を感じる見た目に。そこには、見た目にも明らかに幸せな日々を送っていることが見て取れます。
「小熊っぽかったまん丸フォルムから、貫禄のあるむっちりボディに――兄猫のしじみよりも大きく、たくましくなりました」
そんなあんこちゃんの愛らしさに心をひかれる人が少なくない様子。SNSでは、一番反響をもらう存在だそうです。
もう猫は迎えないと決めていた飼い主さんの心を動かした、あんこちゃん。その出会いは、タイミングや条件など、さまざまなものが重なって訪れたように見えます。あんこちゃんとの出会いにご縁を感じると同時に、飼い主さんには、こんな思いがあるといいます。
「猫は対等な家族という感じで接しています。私たちはご飯を用意する。その代わりに、猫吸いさせてもらったり、触れ合わせてもらったりする、という関係ですね」