走行距離課税導入の3つの課題
走行距離税には、前章でご紹介したデメリットのように数多くの課題が存在します。ここでは、導入にあたって特に困難な壁とされている問題を3つご紹介します。
(1)地方や運送業界をどう守るか
前述のように、走行距離課税を地域・業界関係なく同率で課税すれば、地方在住者や運送業界への負担が増します。そのため、導入にあたっては「条件に応じて税率を変更する」などの配慮が欠かせません。こうした調整をどう行うのかが、大きな課題です。
(2)走行距離をどうやって把握するか
走行距離課税の導入にあたって、もう一つ大きな議論となっているのが走行距離の把握方法です。
個人による自己申告では、過少申告のリスクがあります。一方で、GPSの装着義務化といった案は「プライバシーを著しく損なう」「情報を悪用される可能性がある」といった批判が多いです。
(3)他の税金との統廃合をどうするか
現状の税制に、単純に走行距離課税を導入しては国民の税負担だけが重くなります。また、現状の自動車税制はすでに複雑な仕組みになっており、「ガソリン税と消費税は二重課税」といった批判もあります。走行距離課税の導入にあたっては、他の税制度を見直した上で税制の組み直しが必要でしょう。
導入にはまだ一定の期間がかかるか
ガソリン税の暫定税率廃止から再度話題になっている走行距離課税。今後、自動車関係諸税の見直しで具体的に検討される可能性もありますが、導入にあたっては諸課題の解決が必要です。そのため、導入にはまだ一定の期間がかかると考えられます。
自動車の税負担が気になる方は、今後の変化に関係なく、車の購入コストや燃料代の節約について検討しましょう。
走行距離課税に関するQ&A
▽Q. 走行距離課税はいつから導入?
走行距離課税は、日本ではまだ導入が決定されていません。現状として「いつから導入されるか」「そもそも導入されるのか」は不明です。
▽Q. 走行距離課税はいくら?
走行距離課税は、現状まだ導入されていない制度であるため、課税額や税率も分かりません。
以前は、ニュージーランドの「1,000kmあたり5,000円程度~」を参考にするのではという見方がありました。仮に、この案で1年あたりの走行距離を5000~1万kmとして試算した場合、最低課税額は2万5000円~5万円程度です。
▽Q. 海外での導入事例はあるの?
以下のように、海外には走行距離課税を導入している国や地域があります。
・ニュージーランド…基準額は車種ごとに異なる。1000kmあたり最低5000円程度~
・ドイツ…車重7.5トン以上の貨物車両のみ走行距離に応じて課税
・アメリカオレゴン州…実証実験中。無線通信で走行距離を計測
◇ ◇
【監修】中古車のガリバーが運営・クルマのギモンにこたえるサイト「norico」編集長・村田創
中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!
◇ ◇
【norico編集部おすすめ記事】
▽【2025年】燃費が良い車ランキング!ボディタイプ別TOP5もご紹介
https://221616.com/car-topics/nenpi-best10/
▽高すぎる!おかしい!日本の自動車税3つの問題点と今後の見通し
https://221616.com/car-topics/20230210-1/