今から11年ほど前、生後まもない兄弟猫「かるび」さんと「はらみ」さんは、多頭飼育崩壊の現場から迎え入れた親猫から生まれました。Xユーザー・べじたりあん。さん(@nyan6niku)がふたりを迎えたのは、まだ20歳のとき。懸命にお世話をする日々が始まりました。
手に負えない… 多頭飼育現場の惨状
当時、飼い主さんの母はホームセンターのペット用品コーナーで働いていました。そこで、常連のお客さんから「猫を引き取ってほしい」と何度もお願いされたといいます。
「母は考えた末、男の子と女の子、2匹の成猫を譲り受けました。あとからわかったのは、そのお宅には複数の猫が暮らしていて、すでに多頭飼育崩壊を起こしていたという事実ーー。去勢や避妊手術をしないまま飼育し、自然繁殖を繰り返した結果、手に負えなくなったようです」
見かねた飼い主さんの母は獣医さんを紹介し、すべての猫の去勢・避妊手術を終えることができました。そうして、ホッとしたのも束の間、迎え入れた猫が妊娠していることがわかったのです。
「6匹の子猫を出産。成長して歩けるころになると、母猫はあまり育児をしなくなり、父猫が子猫をかわいがるようになりました。4匹の子猫は親戚の助けをかりて里親さんのもとへ。残った2匹の子猫の引き取り先がなかなか見つかりませんでした」
母猫との折り合いが芳しくない様子を見かねた飼い主さんは、2匹を実家から迎え入れることを決意。それが、生後1カ月半ほどのかるびさんとはらみさんだったのです。
ベンガルの血筋が如実に… ビッグに育った兄弟
かるびさんとはらみさんは、まだ体が小さく、ミルクを飲ませる必要がありました。飼い主さんの子猫育ての日々が始まりました。
「哺乳瓶で猫用ミルクを飲ませました。しばらくして離乳期に入り、ウェットフードやドライフードをふやかして少しずつ与えるように。生後3カ月を迎えるころには、普通のドライフードを食べられるようになりました」
ふたりは元気いっぱいに成長し、よく兄弟ケンカもしていたといいます。生後6カ月になるころには、体重4〜5kgを超えるほど立派な体に。
「ふたりにはベンガルの血が入っていることと、どちらも男の子ということもあってか、かなり大きくなりました」
この頃を振り返り、飼い主さんには心残りもあるのだそう。
「当時の私はまだ若く、猫についての知識も浅かったように思います。貴重な子猫時代、もっといろいろしてあげられたのではないかと、後悔にも似た気持ちになることがあります」
突然の出会い、親猫を思っての決断ーー。めまぐるしい変化のなか、愛情をもって行動してきたからこそ、かるびさんとはらみさんへの思いが深いものになっていったのかもしれません。ふたりは飼い主さんの愛情をたっぷり受け、のびのびと日々を過ごすようになりました。
シニアになっても元気いっぱい! 頼れる優しい兄弟猫
かるびさんとはらみさんは、現在11歳を迎えました。よく似ているふたりですが、それぞれ個性があります。
「かるびさんは体と鼻が大きく、ヒョウ柄がくっきりしていて野性味があります。はらみさんは小顔で細身、マーブル柄でかわいらしい雰囲気です」
また、ふたりは親猫ゆずりの性格なのだとか。
「とても甘えん坊で、人見知りもしません。人間が大好きで、母や友人が来ると飽きることなくちょっかいをかけて『しつこいなぁ』と笑われるほど。夜はふたりとも私にくっ付いて眠るのがお決まりです」
いまは新たに迎えた4匹の猫とともに、にぎやかな毎日を過ごしています。
「ふたりが猫同士の間を取り持ってくれたおかげで、みんな仲良く過ごせています。本当に優しくて頼れる存在です」
シニア期に入った今もなお、家の中でいちばん活発なふたり。家族を温かく支え続けています。
11年間を振り返り、飼い主さんはこう語ってくれました。
「私にとって手となり足となって支えてくれる、かけがえのない存在です。これからもずっと元気に長生きして、そばにいてほしいと思っています」