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【相談】事実婚を貫きたいのに、 彼の家族からの圧で心が揺れる 悩める32歳女性に僧侶がズバッと回答「問われているのは…」

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事実婚に誇りを持つ女性と、入籍を望む彼。愛に形は必要なのでしょうか? 看護師、僧侶、スピリチュアルケア師の玉置妙憂さんが、ふたりにとっての「心地よいかたち」の見つけ方を語ります。

【相談】事実婚に誇りを持つ私、法律婚を求める彼との温度差

彼と事実婚で1年半同居しています。前の結婚で辛い離婚を経験し、法的な拘束への恐怖から事実婚を選びました。初婚の彼も私の気持ちを理解し、「形にこだわらず、お互いを大切にしよう」と賛成してくれていました。

ところが先月、彼の実家での法事に参加した際、親族から「いつ入籍するの?」「孫ができたらどうするの?」と、遠回しに世間体を気にするような話題で詰め寄られました。彼の父親からも「もういい大人なんだから、ちゃんとしなさい」と強く言われ、その場の空気が非常に重くなりました。

それ以降、彼の態度が変わってしまいました。「やっぱり籍を入れたほうが、君のためにもなるんじゃない?」「両親も心配してるし…」と言うようになり、以前の理解ある彼ではなくなってしまいました。

選択的夫婦別姓が叶わない今、事実婚ではお互いの姓を変える必要がなく、仕事上の支障もありませんし、大きなメリットを感じています。何より、法的義務ではなく純粋な愛情で一緒にいるという実感があります。

私は事実婚という選択に誇りを持っていますが、彼を困らせているのかもしれないと罪悪感を感じています。以前の結婚にトラウマがあるから事実婚に拘ってしまうのかも……と思うこともありますが、愛し合っているのに、なぜ法律で縛られなければいけないのでしょうか。

(32歳・女性)

【玉置さんの回答】形式か覚悟か―愛を守るために必要なこと

「愛し合っているのに、なぜ法律で縛られなければいけないのでしょうか。」

――ふむ。本当にその通りですね。愛は自由で、すべてを超える力を持っているはずなのに、現実にはいろいろな「かたち」に縛られてしまう。不思議なものです。

いったい彼は、何を一番大事にしようとしているのでしょう。もしかすると「愛」よりも「社会の目」や「法律」のほうが大事なのかもしれません。あなたのモヤモヤしたお気持ち、とてもよく分かります。

あなたは前の結婚で辛い経験をされた。その体験を通して、法的な拘束を避ける生き方を選ばれたのですね。人としてまっとうな変化だと思います。言い換えれば、それは「成長」です。

人は失敗や痛みを経て経験値を得て、その経験値をもとに自分の生き方をカスタマイズしていく。私たちはみんな、そのサイクルを繰り返しながら生きているのだと思います。

そして今、あなたは新しい彼と出会い、1年半を共に暮らしてきた。その時間には、きっと良い日もあれば、そうでない日もあったでしょう。でも、その積み重ねの中で感じたことや学んだことが、今のあなたの考え方をつくっているのです。

「籍は入れたくない」と思うのも、その学びの一つなのですね。

ただ、もしその根底に「また傷つくのが怖い」「彼を完全には信じきれない」という思いがあるのなら、これは“籍を入れる・入れない”の問題ではなく、“この人と人生を共にできるか”という根本の問いに向き合う時期なのかもしれません。

もう一つ、あなたが書かれていた「事実婚という選択に誇りを持っている」という言葉が印象的でした。

その誇りは、とても大切なものです。自分で選び取った道を肯定できるというのは、人生の力になります。ただ一方で、結婚という営みは、理想を掲げることよりも、日々のすり合わせと歩み寄りの連続です。

別々の環境で育った二人が、同じ場所で暮らすのですから、意見が食い違うのは当然。それでも、お互いを思いやりながら折り合いを見つけていく――そこに“愛の成熟”があるのだと思います。

だからこそ、今回の問題は「事実婚か入籍か」という形式の話ではありません。問われているのは、あなた自身の「これからの覚悟」です。

この先の人生を、彼と本当に一緒に歩んでいきたいと思うのかどうか。その覚悟の前には、紙一枚のことなど、たしかに小さなことに見えるかもしれません。

けれども、その紙一枚が、彼にとっての安心や家族への誠意の証でもあるのなら、「あなたの笑顔を守りたいから、書いてもいいよ」と思える瞬間が来るかもしれません。

愛は、形式を超えるものですが、同時に、形を与えることで守られるものでもあります。

どうか焦らずに、あなた自身の心と、彼の不安や願い、その両方を丁寧に見つめてください。

“ふたりにとって心地よいかたち”を見つけられたなら、それこそが本当の愛の証になるはずです。

◇  ◇

◆玉置妙憂(たまおき・みょうゆう)
看護師。僧侶。2児の母。専修大学法学部卒業後、法律事務所で働く。長男が重度のアレルギーがあることがわかり、「息子専属の看護師になろう」と決意し、看護学校で学ぶ。看護師、看護教員の免許を取得。夫のがんが再発。夫は、「がんを積極的に治療しない」方針をかため、自宅での介護生活をスタートする。延命治療を望まなかったため、自宅で夫を看取るが、この際にどうしても、科学だけでは解決できない問題があることに気づく。夫の“自然死”という死にざまがあまりに美しかったことから開眼し出家。高野山にて修行をつみ高野山真言宗僧侶となる。その後、現役の看護師としてクリニックに勤めるかたわら、患者本人、家族、医療と介護に携わる方々の橋渡しとして、人の心を穏やかにするべく、スピリチュアルケアの活動を続ける。訪問スピリチュアルケアを通して、患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)とQOD(クオリティ・オブ・デス)の向上に努める。非営利一般社団法人「大慈学苑」をつくり、代表を務める。課題解決型マッチングメディア「リコ活」でコラムを執筆。

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