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看板バリスタは中学1年生!家族が淹れたコーヒーで豆の種類を当てる訓練積み…接客も好評【岡山の喫茶店】

山陽新聞社 山陽新聞社

 岡山県吉備中央町の棚田の一角、眼前に吉備高原の山々が広がる高台に隠れ家のような喫茶店「オーガニカコーヒィ」(同町竹荘)がある。カウンターに立ち、慣れた手つきでポットを扱うのは、まだ中学生の笹田渉さん(12)=加賀中1年。両親が営む店で接客からドリップまでこなす〝少年バリスタ〟だ。丁寧な接客も好評で「コーヒーの全てを身に付けたい」と夢を語る。

 細口ポットから円を描くように湯を注ぎ、均等に豆を蒸らすと香ばしい香りが漂い始めたー。温度管理や器具の扱い、どれも大切な要素だが「味の決め手になる」という湯を注ぐ速度には特に気を使うといい、集中して丁寧な一杯に仕上げる。「飲んだコーヒーを気に入って豆を購入してもらえたらうれしい」

 小学3年の時、自宅でドリップの練習を始めた。朝食時には家族が入れたコーヒーの豆の種類を当てる訓練を積み、舌を鍛えてきた。2024年春から週末に接客を手伝い、翌年1月からはコーヒーの提供も担うようになった。

 客前に出るに当たり、接客マニュアルを作り特訓もした。働く両親の背中を見続けていたため、飲み込みは早かったが父で焙煎(ばいせん)士の亮さん(42)は「子どもが入れた品を出してもいいのか。初めは不安だった」と振り返る。

 「エチオピアはさっぱりして飲みやすい」「ネパールは桃のようなフルーティーさが特徴」。豆の違いや入れ方による味の差を説明する姿も板についてきた。

 「優しい味わい。丁寧で、コーヒーへの思いが味に出ている」。渉さんが入れる一杯について亮さんは話す。

 客からの評価も上々だ。渉さんが提供した一杯を飲んだ客が、その様子を交流サイト(SNS)に投稿するとすぐさま話題に。今では「本人に会いに来た」と遠くは福岡県から来る人もいるほどの〝看板〟に成長した。

 バリスタに必要な能力が審査される日本スペシャルティコーヒー協会(東京)主催の全国大会出場を目標に掲げる一方、両親らが計画するネパールでのコーヒー豆生産にも強い関心がある。

 標高約1800メートルにある同国東部の山村で19年から苗木を植え付けており、渉さんも6歳の時から計5回渡航し100本ほど植樹、小遣いで買い集めた文房具を現地の学校に寄付するなど交流を深めた。

 「成長した木から豆を収穫して精製、焙煎するのが目標。飲んだ人がそのコーヒーを好きになる。そんな一杯を作りたい」。目の前のカップにはコーヒーとともに情熱と探究心も注がれている。

 営業は原則土日曜の午前11時~午後5時。自家焙煎の豆や手作りスイーツも販売している。問い合わせは同店(070ー4095ー5297)。

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