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京都でしか見掛けない「町名表示付き」看板、一体何のため!?18年間、調査続けた男性の見解とは

京都新聞社 京都新聞社

 京都市内を歩くとそこここで見かける「仁丹町名板」。ある地域では電柱や軒先に密集しているのに、別の地域ではほとんど見かけない-。この看板に魅せられ、京都府向日市物集女町の草野文彦さん(87)は20年近く記録を続けてきた。

 仁丹町名板は大阪市に本社を置く医薬品・食品メーカー「森下仁丹」の広告が付いた町名表示板。郵便配達員らの役に立つよう、同社が宣伝をかねて設置してきた歴史がある。特に京都市内に多く見られる。

 草野さんが町名板にはまったのは2007年ごろ。当時から、芸術を通じた地域振興を目指す市民団体「京都アートカウンシル」に参加し、同団体メンバーらによる「京都路地裏探検隊」という活動を楽しんでいた。

 探検隊は京都を歩き回り、不思議なものや面白いものを探す活動。路地を散策して地蔵や灯籠などを探していると、仁丹町名板をあちこちで目にした。

 「街角だと今どこにいるか全然わからないが、町名板があるとわかる。ありがたい」。次第に関心が向き、ありかを記録するように。個人的にも市内を歩き回って探し続け、18年にわたる調査の成果を地図付きでまとめた冊子も作った。

 草野さんは長岡京市今里に「賛デザイン」という事務所を構え、焼き物のカタログや食品パッケージのデザインを手がけてきた。「町名板は文字がしっかりしている。楷書体でわかりやすい」とデザイナー目線でも魅力を語る。

 これまで100回以上行われてきた探検隊の活動に、ほとんど毎回参加してきたという草野さん。「車で通ると気づけないものに目がいくのが町歩きの醍醐味」と強調。仁丹町名板の次は、愛宕灯籠の記録を残していきたいと目標を掲げる。

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