扇子の製造・卸業を営む「大西常商店」(京都市下京区)社長の大西里枝さんが8月22日、死去しました。35歳でした。
同店公式Facebookが24日、「大西常商店の4代目代表取締役社長大西里枝が逝去いたしました。ここに生前賜りましたご厚情に、心より深く御礼申し上げます」と発表。通夜は近親者で行い、後日、お別れの会を開く予定です。
京都市長「いくらなんでも、早すぎます…」
突然の訃報にネット上では悲しみの声が広がっています。
松井孝治京都市長は自身の公式Xで、大西さんについて「ほんまにいつも真面目で真剣で、全力投球のお方でした」と振り返り、「しかし、いくらなんでも、早すぎます…」と悔しさをにじませました。
また、親交のあった人や店の顧客らからは、「え、嘘でしょ」「お会いしたばかりなのに」「お店で対応してもらったばかり」「気さくでかわいらしい方でした」などの反応が相次いでいます。
「いけずステッカー」表情の演技が話題に
大西さんは100年以上続く家業を引き継ぎ、SNSなどを通じて京都の文化や風習を積極的に発信。菖蒲を地面に叩きつける「菖蒲打ち」の習慣を着物姿で実演したり、お盆に家の門口に煮汁を撒いたりする姿はたびたび話題になりました。
京都の習慣を発信することについて、生前の取材で、「私は京扇子の製造を生業にしておりますが、これも京都の文化の1つです。扇子は京都の文化と共に育まれた商品ですから、京都の風習や行事などもあわせて発信していくことに意味があるのではと思っています」(「まいどなニュース」2022年8月25日記事から)と話していました。
2023年にはコンテンツ企画会社「ない株式会社」などが手がけた「裏がある京都人のいけずステッカー」でイメージモデルを務め、本音と建前を表情豊かに演じ分けました。上品な若女将のどぎつい表情の演技は多くの人を驚かせ、同ステッカーは新しい京都みやげとして人気を集めました。