「ええやん!」「いけるんちゃう」「どうせ打つならホームランや」ーー軽快な大阪弁による占い本が注目を集めています。人気占い師、真木あかりさんが10月に個人出版した「まいどおおきに!大阪弁タロット」(税込み1760円)。当初はイベント会場での販売でしたが、SNSで評判が広がり、現在では東京の書店で人気ランキング1位にランクインするほどです。
「調子乗らんときや」ドキッとする言葉も
ビブリオマンシー(書物占い)と呼ばれる占いの一種。各ページには古くから伝わるタロットの絵柄とともに、「バッチリや」「アンタようやってはるわ」「ちょ落ち着こか」「泣きたいときは泣いたらええ」といった、くだけた大阪弁によるメッセージが。使い方は、質問を思い浮かべ、パッと開いたページに出てきた言葉をメッセージとして受け取ります。
著者の真木さんによると、ビブリオマンシーの魅力は、タロットカードを持っていなくても、意味を知らなくても楽しめることにあるといいます。
「『今の自分に必要なメッセージは?』などとふんわりした質問も良いかと思いますが、『仕事で〇〇をやろうと思うんだけどどう?』『あの人とどう接すればいい?』などと、具体的な問いかけをすると、アドバイスも活かしやすいでしょう」(真木さん)
中には、もう終わりだを意味する「しまいや」や、「調子乗らんときや」などドキッとする言葉もありますが、「大阪弁ならなぜかすんなり受け入れられる」と好評なのだとか。
「ツッコミ的なメッセージのほか、状況を端的に表すようなメッセージもあります。それを見て浮かんだ素直な気持ちがヒントになるので、思考を広げるツールにしていただけるといいのかなと思います」(真木さん)
父親の愛ある関西弁でひらめいた
出版を思い立ったきっかけは、真木さんの父親の口ぐせでした。
真木さんの父親は兵庫県生まれ。娘が占い師として独立し、多数の著書を発売するようになると、電話をかけてきては「編集者さんにようお礼せなアカンぞ」「謙虚さを忘れたら人間終わりやぞ」「無理したら頭おかしなるぞ」など、父親目線でのアドバイスを欠かしませんでした。そんな愛のこもった言葉を聞きながら「関西弁……アリなのでは!?」。自身の本のアイデアがひらめきました。
しかし真木さんは生まれも育ちも静岡県。「ノリで作ればすごく嫌な本になる」と考え、大阪弁の歴史や大阪人の気質などを一から調べ、掲載する言葉を厳選。さらに正確さを求め、大阪出身の占い師、鴻都希(おおとりつき)さんに大阪弁の監修を依頼しました。
大阪弁の占い本、東京の書店で売れる理由は?
10月に開催されたイベントで販売したところ、SNSを中心に「笑える」「1日1回開いてます」「分かりやすい」「持ち歩きたい」「飲み会でみんなでめくって盛り上がった」などの感想が相次いで投稿されるようになりました。
東京の書店「書泉グランデ」(神保町)が10月末から店頭と通販で取り扱いを開始すると即、人気ランキングの1位に。
同店担当者によると、同書目当てに売り場を訪れる「目的買い」の客がほとんどで「連日売れ続けています」。また、同店通販ページをよく利用する顧客は、変わったものや面白いものを積極的に探す人が多いそうで、珍しい商品が売り出されるとすぐに反応してもらいやすい傾向があるともいいます。
大阪弁の占い本が東京の書店で売れ行きを伸ばす理由については「ユーモアのある大阪弁で、占いをされていない方にも手軽に読め、タロットや大阪弁の一部を学べることから注目され、購入に繋がっているのではないか」(同店担当者)と分析します。
想像を超える反響の大きさには、真木さんは。
「予想を超えたご反響に驚くとともに、大変うれしく思っております。何より、皆さまが笑いとともに反応してくださったのがうれしくて、その“陽”の気を受けて私も元気になりました。『わろとる場合か!』みたいなことも多い現実ですけれど、笑って肩の力を抜いてこそ生まれる元気も勇気もアイデアもあるのではないかと思います。それがダイレクトに伝わっていたらいいなと思います」(真木さん)