ブルーベリー、イチジクなどの果樹苗をネット販売する福岡県久留米市の園芸農家、吉瀬園芸さん。
SNSで有益な園芸情報を発信している吉瀬園芸さんが、自身のYouTubeチャンネルを通して、「絶対に放置しないで!」と呼びかけている「害虫」が今、日本全国で大量発生しているという。
注意を呼びかけている県も
その「害虫」とは、落ち葉のような茶褐色の羽を持つ中国原産の外来昆虫「チュウゴクアミガサハゴロモ」。
「蛾(ガ)」のような見た目だが、実はカメムシの一種。産卵時に樹木の枝を傷つけ、白くふわふわとした産卵痕から孵った幼虫も白くてふわふわしており、樹液を吸って成長するという。
「カメムシ目の吸汁害虫なので、樹液や果実を吸い、果実品質を落とします。また、枝に産卵するので、枝が折れやすくなったり、実際に折れたりもします。私の住む地域、福岡県は果樹や苗木の産地なのですが、当園でもブルーベリー、山椒、梅などが被害を受けています。埼玉県、千葉県、山梨県などでは県が注意を呼びかけているようです」(吉瀬園芸さん)
大量発生の理由とは?
吉瀬園芸さんがYouTubeチャンネルに投稿した動画「大量発生した『チュウゴクアミガサハゴロモ』を来年は激減させるためにやること」のコメント欄には、関東地方を中心に、関西や九州からも、「大発生しています!」という証言が多数寄せられている。
「考えられる大量発生の理由は、①果樹に限らずいろんな種類の植物の樹液を吸うため、餌に困らない ②新しい害虫であるため、登録農薬がないと言われている ③1回の産卵量が多く、卵を食べる天敵もいない ④クモなどの天敵はいるが、幼虫も成虫もすばしっこく捕食され難い、といったことです」(吉瀬園芸さん)
間違われやすい「カイガラムシ」や「アミガサハゴロモ」
また、白いふわふわとしたチュウゴクアミガサハゴロモの幼虫が、同じカメムシ目のコナカイガラムシに似ているため、誤解も多いそうだ。
「チュウゴクアミガサハゴロモは、成虫も幼虫も触るとすごい勢いで飛んで行くので、すぐに違いがわかると思います。また、カイガラムシが寄生した場所にはアブラムシが集まりますが、チュウゴクアミガサハゴロモには寄りつきません。
アミガサハゴロモと混同する方も多いですが、アミガサハゴロモの幼虫はチュウゴクアミガサハゴロモの幼虫よりも細身で、ジャンプ力も弱いそうです。ちなみに、アミガサの成虫は濃い緑で、チュウゴクアミガサハゴロモはチョコレートや赤錆系の色なので、色による区別もできると思います」(吉瀬園芸さん)