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厳しさ増す「子ども食堂」の運営 物価高、コメ不足…何より「圧倒的に足りない」ものとは

京都新聞社 京都新聞社

 子どもに無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」が全国的に増える中、「令和の米騒動」や慢性的な人手不足で運営の厳しさは増している。京都府精華町内で毎週開かれている子ども食堂を訪ね、実情を聞いた。

 精華町祝園の東集会所。月曜と水曜の週2回、午後5時~8時の間に子どもたちが自由にやってくる。対象は小学生から高校生を基本とし、未就学児もきょうだいや保護者同伴で受け入れている。

 開設から3年が経過し、利用者は増え続けているという。開催を週1回から2回に増やし、毎回25人ほどが訪れる。最近は食事だけでなく、放課後の居場所やコミュニケーションの場としての役割も大きいという。6歳と2歳の子どもを育てる女性は「食費の面でめちゃくちゃ助かるのはもちろん、息子が同年代の子と一緒にご飯を食べられることを楽しみにしているので本当にありがたい」と感謝する。

 運営は元公務員の徳田貴仁さん=祝園=が個人で始め、家族やボランティアスタッフ数人と行っている。食材はフードバンクや地元農家からの無償提供の他、自身でスーパーを回って安く購入しているが、物価高やコメ不足で昨年は確保さえ難しい時期があった。運営支援については府などの補助金もあるが、会場費や光熱費、食材費などで支出が上回るという。

 徳田さんによると、町内の他地域からも開設の要望があるが「スタッフが圧倒的に足りない」とし、子どもたちが安全に来られる場所選びや賃料などの課題も挙げる。スタッフの奥野美加枝さんは「みんながおいしいと言って食べてくれたり、わいわいと楽しんだり、喜んでくれる姿が何よりうれしい」と原動力を語る。

 認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」(東京都)の調査では、子ども食堂の数は昨年度に1万カ所を超えた。徳田さんは「地域では子どもだけじゃなく、生活が逼迫(ひっぱく)している高齢者もいる。行政はもっと本腰を入れ、必要な支援を考えてほしい」と話す。

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