面接では自己PRが大事だといわれますが、婚活でもそれは同じようです。井原タクヤさんの作品『運命など存在しないので』では、婚活の自己PR文における言葉の『言い換え』が詳しく描かれています。X(旧Twitter)に投稿されると、約3000件のいいねを集め大きな反響を呼びました。
うまくいかない原因は『自己PR文』!?
婚活中の目黒(52歳)は、結婚相談所の新人・ユナが担当となったもののお見合い申請の段階で50連敗。原因はプロフィールかもしれないと指摘を受け、先輩社員の立川に相談することとなりました。
立川に見てもらうと、「自己PRの修正」と「カウンセラーの一言を仕上げる」という2つの課題が浮かび上がります。お見合い相手を探すとき、プロフィールが唯一の判断材料になるためスタッフが自己PR文を磨き上げる必要があるからです。
そこで立川指導のもと、マンツーマンの執筆レッスンが始まりました。自己PR文の基本は「ネガティブなことを書かない」。当たり前のように聞こえますが、実際に書くと意外とネガティブな文章が混じってしまうのです。目黒も「最近は落ち込むことが増えた」「休日は一人で家に引きこもることが多い」といったネガティブな言葉ばかり並べていました。
しかし同じ内容でも言葉を変えるだけで前向きな印象になることを学んだユナは、『カウンセラーからの一言』を自らの手で書くことになります。悩むユナに対し、立川は「この仕事って子育てに似てるねん 我々ができるのはその人の良いところを見つけて自信を育ててあげること」とアドバイスします。
ユナは必死に目黒の良いところを思い出し『カウンセラーからの一言』を書き上げます。その結果、無事にお見合いが成立するのでした。
読者からは「すごく勉強になる」「表現ひとつで変わるものだなあ」など、SNS上で感嘆の声があがっています。そこで作者の井原タクヤさんに同作について話を聞きました。
婚活だけでなく普段の人間関係でも大切な技術
―実際の婚活でもプロフィールは重要な要素なのでしょうか。
(私自身は婚活業界に身を置いた経験がないので素人意見で恐縮ですが)自然な出会いでは、仕草、表情、話し方、態度など、相手に好意を抱くきっかけとなるチャンネルがたくさんある一方、結婚相談所やマッチングアプリでの婚活ではまず「会うかどうか」の判断材料がプロフィールと写真しかありません。プロフィールの出来がよくないと、実際に会えば仲良くなれたであろう相手でも、会う前に足切りされてしまうことになりますので、婚活する際の「顔」とも言えるほど重要なものだと考えます。
―ネガティブな言葉をポジティブに変える「言い換え」の大切さが伝わってきました。
ネガティブな言葉をポジティブに言い換えることは、婚活だけでなく、仕事や就職活動、普段の人間関係でも大切な技術だと考えています。本作は「結婚相談所」を舞台とした作品ではありますが、ユナが他のスタッフやお客様との交流の中で得る気づきは婚活業界だけでなく、仕事をする全ての人に共感してもらえるものでありたいと考えながら描いています。働くとは何か、何のために働くのか、そういった視点でも楽しんでいただけたらと思います。
―最後に、読者の方々へメッセージをお願いいたします。
連載を楽しみにしてくださっている皆様、いつもありがとうございます。これからも「結婚とはなにか」「幸せとはなにか」といったことを考えさせられるような作品をお届けしたいと考えています。10月20日発売予定の単行本第1巻には、ここでしか読めない描きおろし漫画も収録予定ですので、ぜひお手に取っていただけたら嬉しいです。
<井原タクヤさん関連情報>
▽X(旧Twitter)
https://x.com/Takuya_Ihara114
▽Amazon 『運命など存在しないので』第1巻 10/20発売
https://amzn.asia/d/fjxLu3M
▽『運命など存在しないので』【無料公開中】|ヤンマガWeb
https://yanmaga.jp/comics/%E9%81%8B%E5%91%BD%E3%81%AA%E3%81%A9%E5%AD%98%E5%9C%A8%E3%81%97%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%AE%E3%81%A7