近年、YouTubeやSNSの台頭、ライフスタイルの変化など、理由はさまざまですが、「昔のテレビの方が断然面白かった」と感じている人も多いのではないでしょうか。
東京都在住の主婦Eさん(40代)もそのひとり。ある日、夫婦の何気ない会話をきっかけに、懐かしのバラエティ番組を見返すことに。しかしその時間は、単なる“懐かしさ”では終わらない、思いがけない気づきのきっかけになったといいます。
最初は笑えた、けれど…
「きっかけは、夫の何気ない一言でした。『今のテレビは攻めてない。昔の方が断然面白かったよね』って話題になったので、そういえば昔はお腹を抱えて笑ってたなーって思い出したんです」
昔の番組は派手でキラキラしていた、と懐かしむ夫の言葉にうなずき、Eさんも「そうだね」と答えました。そして2人は、昔のバラエティ番組をレンタルして観ることにしました。
画面の中には、全盛期のテレビの姿が。大掛かりなセット、爆発や炎上を伴うコント、出演者が体を張って挑む無茶な企画。視聴者をあっと言わせる演出が次々と繰り広げられています。
最初の数分は「やっぱり面白いね!」と盛り上がった2人。だが、笑い声は次第に減っていき…。
「これ、今だったら絶対放送できないよね」
無理やりのからかいや、危険すぎる挑戦。Eさんはいつしか眉をひそめている自分に気がつきました。
「昔のバラエティには確かに輝きがありました。でも、いろいろなことが気になってしまって、もう素直に笑えない自分がいて。時代の流れとともに、自分の中で感覚の変化が起きているのを感じました」
今は、出演者の安全や視聴者の多様性に配慮して番組が作られています。それを「つまらなくなった」と切り捨てるのは簡単ですが、ほんの小さな引っ掛かりのせいで、昔のテレビ番組を手放しで楽しめなくなっているのも事実。変わったのはテレビだけではなく、私たち自身の価値観なのかもしれません。
本当に今のテレビはつまらないのか?
「昔のテレビの方が面白かった」という意見もありますが、その一方で、前向きな声も多く見受けられました。
◆「人を下げる笑いが苦手。今は人を傷つけずに笑いをとるスタイルの芸人さんも増え、比較的安心して観られます。これが本来あるべき姿なんだと思います」(40代・女性)
◆「コンプライアンスが厳しくなったぶん、企画力で勝負している印象です。知識・教養系バラエティが増えて、勉強にもなりますよね」(30代・女性)
◆「YouTubeに慣れているので、テンポが速い今のバラエティの方がむしろ見やすいです」(20代・女性)
◆「アニメなんかはむしろ、昔より攻めている気がする。大人向けの深いテーマの作品も多く、クオリティも上がっている。見応えがあります」(50代・男性)
テレビは時代と一緒に進む
懐かしい番組を観て胸を熱くした一方で、笑えなかった自分にも気づいたEさん。その体験は、過去を否定するものではなく「時代も自分も変わってきた」という実感につながりました。
過去の作品を振り返ると、テレビ番組は単なる娯楽ではなく「時代の空気」を映しています。笑いの形は変わるけれど、やはり時代と一緒に歩んでいるものでしょう。
「昔の笑いを懐かしみつつ、今の番組の工夫を見つける」―その両方を受け止める視点こそ、これからのテレビとの付き合い方なのかもしれませんね。
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