京都府丹波地域などの地形や岩石の見学を楽しむグループ「地学部」がある。毎年巡検をし、今年は亀岡市内を歩いた。薭田野町では名産の桜石を探し、桜の花びらのような断面模様を観察した。案内する専門家は「地学を知れば風景を見る目が変わる」と魅力を語る。
地学部は、研修施設「あうる京北」(京都市右京区京北)が4年ほど前から企画。龍谷大などで地質学を教える三上禎次さん(50)と立命館高の貴治康夫さん(68)の引率で、地形や鉱物の魅力に参加者が触れている。
薭田野町の桜天満宮を5月18日、約20人で訪ねた。桜石は、泥質の堆積岩がマグマの熱で変成した鉱物。この一帯は特に良質なものが見られ、国天然記念物に指定されている。
桜天満宮を境内に含む積善寺で展示品を見て、祭神・菅原道真の神徳で生じた伝承を学んだ後、地表に目をこらして桜石を探した。1センチ以下の粒が見つかり、自然の美に触れた。
宮前町の「天然砥石[といし]館」では亀岡名産の砥石の手触りを確かめ、余部町の曽我谷川周辺でも扇状地や段丘の地形を観察した。
「地学に親しむきっかけに」と三上さん。貴治さんも「信仰や産業とも関わってくる領域横断的な面白さがある」と話した。