「足付けました! 今日完成しそう!」
そんなコメントとともに、Xユーザーのモリタさん(@morimomorita)が投稿した1枚の写真が話題を呼んでいます。写っていたのは、片手にすっぽり収まるキジ白猫の姿。ところが、そのサイズはあまりにも小さすぎる…。そう、実はこの猫、羊毛フェルトで作られた作品だったのです。
こちらをじっと見つめる瞳、やや倒れた耳の角度、顔まわりから胴体にかけての自然な丸み、そして脱力したように垂れた手足──どのパーツを見ても驚くほど本物そっくり。思わず拡大して細部まで見たくなるクオリティの高さに、2.3万件を超える“いいね”が集まりました。
この翌日、作品は無事に完成。さらにその3日後には完売。現在も新作を次々に発表しているモリタさんに、羊毛フェルトへの思いや制作の裏側について詳しく伺いました。
“片手サイズの本物そっくり猫”はどう生まれた?
ーー羊毛フェルトを始めたきっかけや、魅力に感じた部分、大切にしていることを教えてください。
「あまりはっきり覚えていなかったのですが、始めたのは2013年でした。最初にハマったのは妹で、私もやってみたいと思い、道具を貸してもらったのがきっかけです。型も待ち時間もなく、好きなものを好きなように作り続けられるところが楽しくて、まわりの反応も良かったのでどんどんハマっていきました。制作するうえで大切にしているのは、丁寧に作ることと、わからない部分はきちんと調べて作ること。それから、自分で決めた期間内に完成させるようにしています」
ーー今回の作品にはモデルがいますか?
「はい、家で一緒に暮らしているキジ白の男の子『がす』です。8歳になります。人見知りなところはありますが、近づくとお腹を見せてコロンと転がる、とてもかわいい猫なんですよ」
ーーがすちゃんの作品は今回で何体目ですか? また、制作にあたって難しかった点や、特にこだわった部分があれば教えてください。
「がすは作っていてとても楽しいので、ちょこちょこ作っていたのですが、今回あらためて数えてみたところ、間違いがなければ83体目でした。今回は初めて“植毛がす”に挑戦したので、模様を入れるのが難しかったです。でも、植毛したことで表情にいい目つきが出たと思います」
ーー“全身植毛”は初挑戦とのことですが、この手法を選んだ理由や制作中の印象的なエピソード、完成を見たときのお気持ちはいかがでしたか?
「植毛のがすは、自分の中でずっと目標であり、憧れでもありました。直前に植毛のチャウチャウを作ったことでハードルが少し下がり、『今なら挑戦できるかも』と思えたのがきっかけです。植毛中は毎回思うのですが、『この作業、一生終わらないのでは?』と途方に暮れる時間が何度もあります。模様の部分に羊毛フェルトを植えたとき、そのままだとボサボサして模様がまったくわからないんです。でも、そこから毛を刈ると模様がしっかり出てくるんですよ。それが本当に嬉しくて、今回も特に印象に残っている瞬間でした」
ーーお魚のクッションやコームなど、“おまけ”の小物も注目を集めています。こうしたアイテムを添える理由や、お気に入りのポイントがあれば教えてください。
「これは猫が持っていたら可愛いなと思ったものや、例えば毛が乱れたときに手元にコームがあればすぐ整えられるので『あった方がいいよね』という実用面からの発想でつけています」
ーー「本物にしか見えない」といった反響も多く届いていますね。こうした声に対して、どのように感じていますか?
「作った“がす”を見ていただいて、そんなふうに言ってもらえるのは本当に嬉しいです。いただいた感想が励みになりますし、次へのモチベーションにもつながっています」
ーー今後、作ってみたい動物や、モデルとして温めている構想などがあれば教えてください。
「これからもいろいろなポーズで“植毛がす”を作ってみたいです。それに、今ちょうど自分の中でブームが来ているのが、狐と狸と水鳥なので、それらも作ってみたいなと思っています。私は移り気なところがあるので、その時々で気になったものにどんどん挑戦していけたらいいなと考えています」
投稿には驚きと称賛の声が続々と寄せられています。
「小さい猫ちゃんだ!」
「一瞬、本物かと思った。かわいい」
「大きな手のオブジェかと思った」
「本当のにゃんこかと思った! 素晴らしい!」
「すっすごい…! めちゃくちゃかわいいー!」
「リアル手乗りサイズのネコかと思って目ぇかっぴらいたわ」
「クオリティ高すぎて本物の手乗りサイズねこかと思った」
「羊毛フェルトってこんなリアルにできるもんなのか…凄いな」