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妖刀伝説は真っ赤なウソ? 宝刀「村正」を所有する桑名宗社宮司に聞いた

米田 ゆきほ 米田 ゆきほ

大阪・関西万博にて、宝刀「村正」が期間限定で展示された。

三重県桑名市の桑名宗社(春日神社)は二振の「太刀・村正」を所蔵しており、今回展示されたのは「春日大明神」とご祭神の名前が彫られている一振。天文12年(1543年)に二代目村正が制作したもので資料的価値高く、三重県指定文化財に指定されている。展示に至った経緯や、まつわる伝説について桑名宗社の宮司、不破義人さんに話を聞いた。

 

――万博に展示された経緯は?撮影許可にされたのも異例だったそうですが。

不破:三重県の文化財を広く知っていただくため三重県知事より依頼され実現しました。撮影許可は展示準備をしている最中、刀剣の専門家と話し合い、特例で許可しました。県職員の方と現場のスタッフの方々の思いが伝わってきたときに、安心して任せられると感じたからです。最後まで見守っていただき、アテンダントが搬出作業を名残惜しそうに見ている姿が印象的でした。村正を乗せた運搬車両が出発する際に、車の見送りまで来てくださった方もいました。

――妖刀との伝説が残っていますが、桑名宗社としての受け止めは? 

不破:徳川家を祟ったと言われていますが事実はなく、徳川家康をはじめ徳川家では村正を代々所有しています。当時の村正は「手ごろな値段で切れ味が良い刀」と評判で、桑名の地で数多く作刀されました。その多くを徳川家康のお膝元である尾張藩が購入しており、徳川家に刀を使った事件があれば当然村正が使用されている可能性が高くなります。さらに村正が奉納されたのは約480年前ですが、当神社には約400年前に徳川家康の孫の千姫が建立した、徳川家康が祀られる桑名東照宮があります。徳川家が村正を忌み嫌っていたのであれ建立するはずなく、辻褄が合いません。

隠すつもりはありませんが、当神社では「妖刀」「祟る」などの単語を一切使わないように心がけています。どのような時代でも、奉納した村正本人の心情を考えなければなりません。480年前に力作を神社に奉納するのは相当な覚悟があってのこと。今の時代まで守ってきた地域の方々の誇りでもあります。

将来、「この素晴らしい村正が妖刀と呼ばれていた時代があってさ」なんて言える時代が来るために、桑名宗社では村正の史実を伝えていきたいと思います。 

◇    ◇

来場者からは、「実物を見て感動した。」「めったに見られるものではないのでありがたい。」「撮影できるのはとても貴重。こんな機会をいただけてうれしい」など反応が見られた。クラファンにより再研磨されたばかりの村正は輝きを放ち、来場者を魅了していた。

桑名宗社 関連情報
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