「今の仕事には合っていない気がする」「新しいことにチャレンジしたい」「将来のためにスキルを身につけられる職場で働きたい」――。そう感じる人は少なくありません。転職のきっかけとして「今と違う仕事に就きたい」と考える人は多くいます。
一方で「とはいえ、未経験歓迎の求人は年収や待遇面で不安」と感じたことがある人もいるのではないでしょうか。
マイナビ転職が2025年4月に公表した調査によると、「未経験求人と経験者求人で初年度年収に106.8万円の差」があるなど、その待遇には大きな開きがあります(※参考)。
この「差」を埋めながら、新しい仕事にチャレンジして転職を成功させた人に「秘訣」を聞きました。
「今の仕事よりも年収をあげたい」多くの人が期待するけれど……
関東在住のAさん(30代、会社員)は、大学卒業後に食品商社へ営業担当として入社しました。上司が細かいことに口を出すタイプではなかったことや、取引先との関係構築や商品選定などを自由に任せてもらえたこともあり、入社以来前向きに仕事に取り組んできたといいます。
そんなAさんが「転職」を意識したのは、30歳の記念に開かれた同窓会での会話がきっかけでした。
「転職もいいかなと思って転職サイトに登録はしてみたけど、興味ない会社からしかスカウトが来なくて。30歳になったらそのスカウトすら少なくなった気がする」
「転職エージェントに登録したことがあるけど、意外と今より年収が上がる求人って少ないんだよね。それなら今の慣れた仕事と職場で働いてた方がいいかも」
そんな話を聞いて、Aさんは「今の自分の年収って高い方?安い方?」と気になり、初めて複数の転職サイトに登録してみました。
「やってみたいこと」に未経験で応募すると、下がる年収
大学の就職活動の時には「最初は営業で経験を積み、将来的には商品開発やバイヤーとしてキャリアアップしたい」と考えていましたが、実際に営業からそれらの部署に配属された同期はゼロ。このまま今の会社にいても、学生時代に思い描いていた希望は叶わないかもしれないと感じたのです。
そこでAさんは、それらの職種への未経験転職にチャレンジすることにしました。
しかし、「バイヤー」「商品企画」「マーケティング」といった職種で「未経験応募可」の求人を探すと、表示されるのは現在よりも大幅に年収が下がりそうな案件ばかり。募集要項には「第二新卒歓迎」などの文言が並び、明らかに20代前半の若手を求めていることが見て取れ、Aさんにとっては応募しようという気持ちになれませんでした。
「職種名」ではなく、仕事内容と取引先についての知見を活かす
そんなAさんに転機が訪れたのは、同窓会で再び連絡を取るようになった「現役の人事採用担当者」からのアドバイスでした。
「職種名って、実はけっこう適当なんだよ。大事なのは実務経験と顧客・商品知識への知見の組み合わせ。まずは日々の業務について、とにかく細かく書き出してみて。どうやって顧客情報を収集しているか、取引先からどんな依頼を受けてどう対応しているか、この会社に入って初めて知ったことって何があるか……などをね」
Aさんが実際に日々の業務を細かく書き出して、再び友人に見せたところ…「この経験はECサイトのマーケティング職の一部だし、この3年間の担当は業務用調味料の開発って言えるよ」など、目から鱗が落ちるようなアドバイスが返ってきたといいます。
応募する企業に合わせて職務経歴書の記述を変えた結果、Aさんは見事にマーケティング職への転職を成功させ、わずかではありますが年収アップも実現することができました。
「未経験として応募し続けていたら、自信もなくなっていたと思います。これまでそれなりに頑張ってきたことが活かせてよかったです」
【※参考】
▽マイナビ転職|「正社員の平均初年度年収推移レポート」と「正社員求人件数・応募数推移レポート」を発表
https://www.mynavi.jp/news/2025/04/post_48571.html