tl_bnr_land

「家は買っちゃダメ。この家があるんだから」…通勤4時間の“田舎の実家”を押し付けたい義父母と、家を持ちたい夫婦のすれ違い

中瀬 えみ 中瀬 えみ

家を買うことは、多くの人にとって人生の大きな決断です。けれども「買うこと」が当たり前とは限らず、親世代との価値観の違いが思わぬ摩擦を生むこともあります。関東地方在住のAさん(40代、主婦)は、夫婦で家の購入を検討し始めた矢先、「この家があるのに、なぜ買うのか」と義父母に激怒されてしまいました。

「転勤が続いていたから家を買わなかっただけ」

Aさんは夫と二人の娘との4人家族です。夫の勤務先は転勤の多い企業であったため、Aさんは新卒で入社した会社を退職し、子育てを担いながら、結婚後は10年以上にわたって全国を転々とする生活を続けてきました。

3〜4年ごとに転勤があり、子どもが幼稚園や学校に馴染むのにも苦労はありましたが、生活に困ることはなく、将来的に夫が本社の管理部門に異動する日を楽しみにしていたといいます。

夫は順調に成果を上げ、同期よりも早く本社勤務となりました。今後は同じ部署で腰を据えて働くことが想定されたタイミングで、ちょうど長女と次女の進学も重なりました。

これまでの転勤生活では家賃補助が手厚く、住宅購入の頭金にするには十分な額を貯めることができていました。そのため、夫婦の間では「進学先が決まったら、家を買ってもいいかもしれないね」という話も出るようになっていました。

しかし、久しぶりに夫の実家に帰省した際、思いがけない問題が起きました。

いきなり義父母が激怒「この家があるのに他に家を買うなんて!!」

テレビのニュースで「マンション価格が高騰している」と報じられていたのを見た夫が、「家を買うなら早い方がいいのかな。どんどん値上がりしてるし。あるいはまたバブルのように下がることもあるかも」とつぶやいたところ、義母が突然声を荒らげて反応したのです。

「は!?あんたたち、家を買う?そんな必要ないでしょうが!!」

あまりの剣幕に、夫もAさんも驚きました。理由が分からず義父の方を見ると、うなずいている様子でした。

夫が「いや、まだ具体的な話じゃないけど、もう転勤も落ち着いたし、娘たちも進学するからちょうどいいタイミングかと思って」と返すと、義母は「この家があるのに、ほかに家を買うなんてどういうつもり?」と問い詰めてきました。

「同じ県内に家があるのに、ひとり息子が家を継がないなんて、この家をどうするつもりなの?」

唐突に出た「実家を引き継いでほしい」という要望に、Aさん夫婦は戸惑いました。

「定年後に戻ればいい」そんなの絶対イヤなんですけど!?

夫の実家、つまり義父母の家は現在の社宅と同じ県内にありますが、利便性が低く、通勤には往復4時間はかかります。また、最寄りの駅までは車で30分ほど。生活には車が欠かせない場所です。

夫が「娘たちはこれから中学と高校に通うし、大学進学を考えても、ここでは不便すぎて住むのは難しい。俺も高校のときは自転車で1時間かけて通っていたけど、本当に大変だった…」と説明すると、義母は「今すぐじゃなくていいのよ。定年までは社宅に住んで、定年後に戻ってきて建て直すかリフォームすればいい。そのためにお金を貯めなさい。私たちは近くでお墓を探しているから、ちょうどいいのよ」と、突然自身たちの計画を語り始めたそうです。

「便利な場所で価値のある物件ならともかく、いずれ限界集落になりそうな場所の家を、ありがたく受け取れと言われても困ります。とはいえ、完全に無視して新たに家を買うのも気が引けるようで、夫は悩んでしまっていて……現状は、話を先送りにしている状態です」とAさんは話します。

「一生に一度の大きな買い物」だからこそ、当人同士の思いも強くなりがちで、折り合いをつけるのは簡単ではなさそうです。今はまだ、何か状況が変わるのを待つしかないのかもしれません。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース