「60年以上愛された味がなくなるのは寂しい」昨年閉店の洋菓子店の味を20年勤めたパティシエが復活 原点は唯一無二の「モンブラン」

山陽新聞社 山陽新聞社

 1年ぶりにあの味が戻って来る。2024年5月末に惜しまれながら閉店した岡山市北区番町の「ロマラン洋菓子店」(1961年創業)。同店に長年勤めたパティシエ鞠子真佑美さん(40)がレシピを基に、6月初旬に新店舗をオープンさせる。「60年以上愛された味がなくなるのは寂しい」と元オーナーの了解を得て、起業を決意。ロマランから徒歩圏内の同富田町で、常連に親しまれたケーキや焼き菓子などの定番商品を復活させる。

 岡山県高梁市有漢町出身の鞠子さんは子どもの頃から菓子作りが好きで、高校卒業後に大阪の製菓専門学校へ進学。Uターン就職先として、岡山県内のいくつかの店舗を候補にし、その中で「モンブランがおいしかった」というロマランで働くことにした。2004年4月から丸20年間勤務し、取り扱う約100種類ほとんどの製造を経験した。中でも人気のチョコパイは初代オーナーから直々に指導を受けて技術を習得した。

 ロマランの閉店後、別の店への就職も考えたが、常連客らの「ロマランのケーキをまた食べたい」という声にも押され、物件探しをスタート。今年に入り、ビル街の一角に入居者を募る看板をたまたま見つけて気に入り、開業を決めた。

 店名は「Patisserie Marire(パティスリーマリル)」。仏語で「笑顔」の意味を持つ「rire」と自身の名前から名付けた。店内は木材をふんだんに使い、温かみのある雰囲気。いまはオープンに向け、新しいオーブンを使ってロマランの味を再現できるよう焼き具合の調整など試作を繰り返している。開業時には20~25種類程度を用意する予定だ。

 ロマランの元オーナーらも開業を喜んでくれているといい、鞠子さんは「レシピはロマランとほぼ同じ。思い出の味を懐かしんでもらったり、食べて笑顔になってもらえたりしたらうれしい」と話している。

 店舗の詳細は店名のインスタグラム(@patisserie_marire)。

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