大津市科学館(本丸町)にあるプラネタリウムの2023年度の観覧者数が、小規模館の中で3年連続となる全国2位だった。職員2人態勢の丁寧な解説や客層に応じてプログラム内容を差し替える柔軟な運営が人気の理由という。24年度は前年より約3千人増え、同館は「今度こそ1位に」と期待する。
3月27日、市科学館プラネタリウムでは、その日の夜に市内から見える星座や惑星の解説に、主人公が宇宙飛行士を夢見るアニメ番組上映が組み合わされた計45分のプログラムを、訪れた13人が楽しんだ。植田叙哉さん(54)=京都市伏見区=は「説明が分かりやすく、親しみやすさを感じた」と笑顔を見せた。
大津市営のプラネタリウムは1974年、におの浜にあった市立科学館に開設された。同館が90年に老朽化で閉鎖した後、市生涯学習センターに併設された現在の市科学館内へ92年に移転した。定員90人で、映像を映し出す直径12メートルのドームを備える。
「日本プラネタリウム協議会」の調査では、市科学館プラネタリウムの観覧者数は2021~23年度、全国の小規模館110施設(100席未満)中で2番目に多かった。23年度は3万1700人で、1位の高知みらい科学館(高知市)に約2千人差まで迫った。24年度の市科学館の観覧者は3万4800人まで増えた。
同館の売りの一つは、ナレーション役と映像の投影役を分けて2人がかりで上映していることだ。1人で両方を担うより、映像の頻繁な切り替えや丁寧な解説が可能という。また、幼児、小学生の各学年、高校生、高齢者など年代別に多様なプログラムを用意し、団体客の場合は各団体のニーズに合わせて説明内容を変えている。
さらに裾野を広げるため、月に1回、無料で観覧できる日を設けているほか、「はじめてのプラネタリウム」の名で乳幼児を連れた家族向けの無料上映会を実施。今年9月からは、水曜日午後に行っていた平日の一般向け上映を金曜午後6時半からに変更する予定で、仕事終わりの市民らの来館促進を図る。
同館の古川恵子次長は「何度も足を運んでもらえるような楽しい上映を心がけている。工夫を続けて今後も観覧者数を伸ばしたい」と話す。