学生に知ってもらうために、なぜ活動を?
Aさんの話から、親が子どもの「反抗期」を把握するように、家族が更年期について知っているだけでも互いの意識が変わることが伝わってきました。そんななか同社は「MENOPAUSE ACTION(以下メノポーズアクション)」と名付け、学生へもアプローチし、高校生や大学生向けに更年期の講座を開催しています。
この3月には産業能率大学(東京都世田谷区)校内で、学生のアイデアをもとに企画も実施。更年期について知るきっかけになるポスターの掲出や、様々な症状とその時の気持ちをステッカーにして、症状の悩みを視覚的に訴求し、関心を高めました。 そんな活動について広告宣伝部の担当者に詳しく聞きました。
――「生理のはじまりは教えてもらったけど おわりかたは知らなかった。」と、産業能率大学で展開されていたポスターなどがとても興味深いです。学生世代にアプローチされているのは驚きでした。
若い世代向けの講座をこれまで5回(4校)開催しており、今後も実施していく予定です。初回の講座は、学生たちが興味を持てる内容か不安を抱えながら行いましたが、真剣に耳を傾けてくれ、グループディスカッションを通して、積極的に手があがり、意見発表が行われました。先生からも「学校の授業では扱っていない内容のため、更年期について知識を増やす機会をつくれてよかった」といったお声をいただいています。
――学生からの反応は?
実際に課題と向き合った学生からは「更年期についてまだまだ知らないことが多い。もっと理解して母や周囲に配慮できるようになりたい」「実際わたしたちも更年期ってなるものなので知っておいた方がいいと思う」といった感想が述べられていました。
――「メノポーズ」という言葉自体、日本ではあまりなじみがない印象なのですが、なぜ「メノポーズアクション」という活動名に?
日本では「更年期」という言葉が揶揄されることもあったり、ネガティブに捉えることがあります。そのイメージを変えていくためのアクションにしたく「メノポーズ」という言葉を使いました。
まだ日本では聞きなじみのない言葉なので、このアクションをきっかけにより多く人に知っていただきたいと思っています。また、女性従業員が8割を占める企業として、更年期の理解を広げることで女性の活躍を応援したい想いも込めています。
――「メノポーズアクション」のサイトもとてもわかりやすく、更年期について知りたい情報が網羅されている印象です。
2024年10月のサイト公開から1カ月間で500件以上のお声が入り、サイト訪問数は計24万ページビューにのぼっています。Xでも投稿していただいたり、思っていた以上に大きな反響がありました。
もっと更年期について世の中の理解が広がり、当事者も周囲も過ごしやすい社会になってほしいとの想いから始まったのですが、改めて、「更年期」はいま社会から必要とされている情報なんだと実感しています。サイトでは、今後も閲覧者からいただいた方からのお声を基にコンテンツを拡充し、サポートし、寄り添い続けていきたいです。
――昨今、「男性の更年期」についても耳にすることもありますが。
男性の更年期については、まだ大きく取り上げていない状況です。まずは、女性の更年期の課題をメインに活動をしていますが、更年期の症状や、寄り添い方などをみんなで一緒に考えるため制作した「更年期レッスンブック」の中や、更年期講座の中で、男性更年期についても触れ、男女問わず「更年期」の“不”があることを知る機会をつくっていければと考えています。
――男女問わず更年期への理解がひろまって欲しいものです。
活動のゴールは「更年期をひとりにしない。みんなの理解が支えになる。」の実現です。課題解決の第一歩は、まずはきちんと知ること。みんなで問題を認識することなので、
①当事者への理解を深めることやサイトやセミナーを通しての寄り添い
②周囲の更年期への理解と寄り添う気持ちを醸成していくための活動
①②を両輪で継続していく考えです。そのために、行政や教育機関、他社との連携も拡大し、接触機会を増やしていきます。
また、生理のことは学校で学びますが、それが終わる更年期について学ぶ機会は多くありません。将来的には、教育の過程でもっと「更年期」についての理解を得られるようになればいいなと考えています。
女性の更年期による影響は、経済損失にも
経済産業省が2024年2月に公表した「女性特有の健康課題による社会全体の経済損失」(※)の結果によると、更年期症状による欠勤やパフォーマンス低下、離職、休職などによる経済損失は女性で1.9兆円にもなるとのこと。もはや個人の不調だけではおさまらない課題となっています。
更年期は自分の症状と向き合い、時にヘルプを出すことも大切で、場合によっては医療機関への相談も考慮しながらうまく付き合っていかねばなりません。Aさんにとってはホルモンテープやサプリメントによるケアが身体に合っているように、どんなケアが自分に適しているのか、その方法や手段を色々と探りながら、試しながら、自身の「QOL(クオリティ オブ ライフ)」を上げるための情報をたくさん蓄えておくことも大切だと感じました。
そして、やはり家族や周囲にいる方の理解や支えがきっと一番大きなサポートになるのではないかと。「あ、今日はイライラがきつい日だな」「辛そうだからちょっと家事を代わろう」「しんどそうだし座ってもらわないと」など、少しの思いやりが助けになるにちがいありません。
まずは知ること、理解することから。みんなで考えていけたらいいですよね。
2025年6月14日(土)にタカシマヤローズホール(神奈川県横浜市)にて、「ファンケルメノポーズアクション」の監修医である産婦人科専門医・高尾美穂先生による「更年期セミナー」を開催。参加費は無料。募集フォームでの応募期間は5月26日(月)23:59まで(抽選制100名まで)。後日セミナーのアーカイブデータも公開予定。
<※参照>
経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」(令和6年2月) https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/jyosei_keizaisonshitsu.pdf
【ファンケル関連情報】
■FANCL MENOPAUSE ACTION https://www.fancl.jp/menopause/index.html
■更年期レッスンブック https://www.fancl.jp/menopause/assets/top/MENOPAUSE_LESSON_BOOK.pdf
■WEB動画「MENOPAUSE Lesson~更年期が教えてくれた大切なこと~」 https://www.youtube.com/watch?v=8V2M2sUtTag
■高尾先生更年期セミナー 募集フォーム