息子の誕生日の一日を、父が撮影した動画がInstagramで話題です。動画が撮影されたのは、なんと今から58年前の昭和41年。動画を投稿した@shouwanokazokuさんは、今は亡きお父様が残したという「昭和のとある家族の写真」をスマホで読み込み、お父様が残した当時の気持ちと共にInstagramに投稿しています。
8mmビデオで撮影された映像には、@shouwanokazokuさんが2歳を迎えた当日の朝、起きてから夜寝るまでの1日の様子が記録されていました。映し出される暖かく懐かしい昭和の風景や、子どもの成長を喜ぶ家族の姿に、「懐かしい気持ちでいっぱいです」「なぜか涙が出てくる…」と反響が寄せられました。
起きた瞬間を待ちわびたかのように、階段下からスタンバイされたビデオに映ったのは、パジャマ姿の男の子。階段をお尻からゆっくりと、一生懸命に降りてくる姿から動画は始まります。階段を降りると、台所から割烹着姿のお母様が出てきてお着替えです。お母様が少し大胆にセーターを頭からかぶせると、ポンッと勢いよく顔を出し、嬉しそうに微笑む男の子。
テキパキとした動きの中にも、垣間見えるお母様の優しく嬉しそうな表情が印象的です。着替えが終わると、ダイニングテーブルへ移動して、スモック姿で朝ごはんを食べます。お茶を飲みながら、動画を撮影するお父様のことをチラッと確認しているようです。
そして、朝ごはんのあとは、白黒フィルムからカラーフィルムへと変わります。「白黒からカラーに替わっているのは、写真館に8mmフィルムを買いに行ったら白黒は1本しかなかったので、初めてカラーを買ったためです。でも価格が倍以上だったので、母は『いいかげんにしてよ!』と、怒ったそうです」と@shouwanokazokuさん。
「それでも、僕の誕生日の1日を動画で残したかった父の気持ちが、今はよくわかります」と続けます。カラーで映し出される映像には、外でお兄ちゃんと元気よく遊ぶ男の子の姿が。長靴を履いてお母様の元まで一生懸命に歩いたり、お兄ちゃんが乗る三輪車の後ろに立ったりと、2歳ならではの可愛らしい姿が鮮明に残されています。
その後、家に戻り家族4人でこたつを囲い、お父様からプレゼントをもらったり、お誕生日のケーキを食べたりと、ゆったりと流れる平和な誕生日の夜が映し出されます。バナナを食べている男の子の頭を撫でる、優しい表情のお父様の姿も撮影されていて、両親の愛情が伝わってきます。
飛行機やプラレールをお兄ちゃんと一緒に楽しむ男の子。最後はパジャマ姿でお母様に抱かれ、バイバイと手を振り、寝室へと向かっていく姿で動画は締められました。
昭和の家族を映し出したノスタルジー感溢れる映像に、多くのコメントが寄せられました。
「涙が出てきますね。素晴らしい映像です。この日を記録に残そうという愛が、溢れる気持ちがめちゃくちゃ伝わってきます」
「素敵なお父様。とても大切な一日をずっと残しておきたい気持ち、とても共感できます」
「なんだかもう、愛が溢れてて泣きそうになりました。これこそプライスレスな宝物」
「日本の宝のようなフィルムですね!」
「投稿を見て、子どもたちを大事にして、親との楽しい思い出をたくさん残してあげようと思いました。ありがとうございます」
動画を投稿した@shouwanokazokuさんに、話を聞きました。
ーー『2歳の誕生日』を撮影し続けたという、この動画を見つけたとき、どのように感じられましたか?
「私は4歳以前の記憶がほとんど無く、半世紀ぶりに見ることになった、この頃の写真や8mm映像は、初めて見る感覚でした。この動画は撮影年しか書かれていなくて、誕生日の朝から寝るまでの様子を撮影したものとは知らず、ただ可愛いなあ、こんなんだったんだなあ、と見ていました。
後に、写真アルバムの父の記録で、1日の様子を撮影したことを知りました。母に怒られながらも、高価なカラーフィルムを使ってまでも、我が子の成長記録を残したかった父の思いを知り涙が出ました」
ーー愛情溢れるご両親の姿に、多くの反響が寄せられました。@shouwanokazokuさんにとって、当時のお父様とお母様はどのように映っていましたか?
「我が家は昭和43年に引っ越しをして、私はそれ以降の記憶しかありませんでしたので、この4歳までの、この家での暮らしの記録が、そこに写っている父も母も新鮮な感覚でした。特に母は口やかましく、どちらかといえば怖い存在でしたが、ここに写っている母の姿を見て、母の育児日記を読んで、ちゃんと育ててくれたんだなと感じました。
父は、誰も見ない写真やアルバムをこんなにも残して、子どもたちのことを本当に愛していたんだなぁと思いました」
ーー2022年の2月から、3年に渡り投稿されてきた『昭和の家族』の風景。今までの投稿を振り返ってみて、改めていかがでしょうか。
「インスタを始めた当初は、こんな他人の家族写真を見てもらえるのか?と、疑問に思っていました。しかし当時の懐かしさから、同年代の方々が共感を持って見てくださるようになり、親子の愛情や子どもたちの姿に、子育て世代の若い方にも共感していただけるようになりました。
彼らにとっては、祖父母世代の子育てですが、時代や世代は違えども、親子の愛情、子育ては今も昔も変わらないと、感じているのではないでしょうか。フォロワーの皆さんのコメントが励みになっていました」
Instagram(@shouwanokazoku)では、昭和39年~昭和42年までのお父様が残した大量の写真をスマホで撮影し読み込んだあと、白黒写真をアプリでカラー化したものを投稿されています。2025年2月24日の投稿を最後に、投稿は終了したとのこと。アカウントはそのまま残るので、今後も心温まるお父様の残した写真の数々を見ることができます。