私財を投げ打ち、人間の身勝手で遺棄された不遇な動物たちを25年以上にわたり保護・終生飼養の活動をする特定外来生物飼養許可施設「一般社団法人 ワニガメ生態研究所」(@kanameogino)の所長、荻野(おぎの)要さん。
2月6日未明、暴風で施設の一部が吹き飛ばされる被害が発生。基礎固定用のアンカーや照明の配線がボックスごと引きちぎれるなど、大きな被害が出た。
幸いにも、自治体の許可を得て施設で保護している「ワニガメ」「カミツキガメ」などは飼育容器も含めて全て無傷。鉄筋コンクリート製の外壁等にも一切の損傷はなかったそうだ。
また、完全室内飼育の保護猫たちはもちろん、ドッグランが大好きな保護犬たちも屋内に退去しており、作業中だった所長も無事だった。
「報道の自由」をはき違えたテレビクルー
しかし、保護活動に偏見を持つ人物により「ワニが逃げた」等の嫌がらせのデマが流布。荻野所長はX(旧Twitter)にて、「デマ話を流すのはやめてください。脱走はありません!」と投稿した。
そんな状況を聞きつけたテレビ局のクルーが突然、無断で施設に来襲。
所長は、施設で保護している犬たちが、見知らぬ大勢の人物の訪問に対して警戒心と恐怖心からパニックとなり、怪我や事故を起こす可能性があるため、「遠慮してください」と、テレビクルーに嘆願。
だが、「報道の自由」を主張し、所長の願いを聞き入れなかったという。
◇ ◇
案の定、火がついたように吠え続ける保護犬たち。
なかでも、前の飼い主が自死し、かけつけた救急車や警察官に囲まれたトラウマを持つ紀州犬、お米丸くんは過去の恐怖がフラッシュバック。錯乱状態に陥り、歯を立て爪で掻き続けた犬舎の壁は血まみれになった。
その悲惨な状況をXに投稿していた荻野所長。
「TV局の方が突然来られました。いぬたちが吠えます。お米丸が錯乱し、症状が悪化するので遠慮して下さるようお願いしたのですが『報道の自由』と言われ、聞き入れてもらえませんでした。暴れた部屋の片付け、再び錯乱状態になり血まみれになった部屋の掃除…また振り出しに戻りました…報道……」
「報道の自由」をはきちがえたテレビ局の取材姿勢に批判の声が殺到した。
「報道のモラル」どこ行った?
「取材したいならアポを取るのが筋です!」
「もっと報道すべきことがたくさんあるでしょうに…」
「報道の自由とはそういうことではない」
「報道のモラル、どこいった?」
「その人たちが来なければやる必要のなかった作業まで増やして…」
「他にやることがないのですかね?ボランティアにでも行けよ」
「確かに何かしらの『権利』はあるかもしれませんけど、それによって起きてしまった『結果』についての『責任』は取って頂きたいものですね。大人として社会人として」
数分でわかることも調べない「自称マスコミ」
さらに、この投稿を見た数件のマスコミから取材の申し込みがあったという。
「『お米丸とは何ですか?ヘビが逃げたのですか?』との話で貴重な時間を奪われたくありません。少しでいいので過去の投稿を見てから連絡して下さい」と、Xに投稿していた荻野所長。
事前の連絡もせず突然押しかけ、断っても撮影を強行するという。
バズった投稿は話題になる!と飛びつき、指先ひとつで調べられる情報……お米丸くんの保護の経緯や、施設のある県の獣医師会から「優良飼育者」として表彰された荻野所長の長年の保護飼養活動などには一切関心がない、自称マスコミ。
これでは「マスゴミ」と揶揄されても仕方がない。