tl_bnr_land

マジで何者!?→2年前に振袖スノボでバズった女性の卒業制作「かっこよすぎ」とまた話題に

黒川 裕生 黒川 裕生

杜野さんがこのように漆芸に打ち込む一方で、残念ながら伝統的な漆芸の需要は減少の一途を辿っています。仏壇仏具や茶器の需要も少なくなり、多くの職人は後継者を育てる余裕もないそうです。杜野さんは「プラスチックが存在する現代に、漆芸は“なくても困らないもの”になっています」とした上で、「どんなにすごい技術も、このままでは後世に受け継がれず消えてしまいかねません」と危機感を口にします。

それでも若くして漆芸の道を選んだのは、「かっこいいから」だと言い切る杜野さん。

「そのかっこよさを多くの人に伝え、しっかりと需要のある物を作ること。工芸の魅力を発信し、適切な価格で販売し、後継者の育成に努め、この文化を次世代に引き継ぐことが大切です。そして今の私にできることは、唯一無二の魅力を持つ工芸と、各自のスタイルを重んじるウィンタースポーツのカルチャーとを掛け合わせた、この『雪中用漆具三式』のような作品を作ることだと考えています」

学校で漆芸を学んだ4年間と作品への反響、今後についても聞いてみました。

「この4年間、漆塗りとは、これからの工芸、伝統工芸とは、アートとは、使える工芸とは…ずっとそんなことをテーマに制作を続けてきました」

「京都伝統工芸大学校は、伝統工芸の技術を身につけるための学校です。一方、私はプロダクトデザインや工芸デザイン、販売などを一人でこなすことに力を入れているので、学校の趣旨からは少し離れつつ、工芸から見ると変なものを作っています」

「例えば自主制作で、スケートボードに様々な色の漆を20回塗り、使うと削れて下の色が出てくる“彫漆スケートボード”なんてふざけたものを作っても、学校ではそれを許容してくださった上、なんなら『面白い』と評価しても頂けたので、今、この作品を作ることができています。蒔絵の先生方には大変感謝しています」

「工芸の賞を取ることではなく、工芸に関心のない人に届くことを目標に制作を続けてきた」という杜野さん。「4年間で、学校の誰より制作し、実際に販売してきたという自信があります。ありがたいことに様々なお話を頂いているので、今後も精いっぱい制作をしていきたいです」と話し、「卒業後は工芸の世界はもちろん、ウィンタースポーツ業界、さらに他のジャンルにもポジティブな影響を広められるよう、ずっと工芸が新しく、かっこいいものであり続け、日本が少しでも素敵なもので溢れることに貢献できる、そんな人間になりたいです」と力を込めました。

杜野さんの作品も展示された同校の卒業・修了制作展は2月17日に終了しましたが、杜野さんの投稿によると、雪中用漆具三式は京都伝統工芸館(京都市中京区)で引き続き展示を行うとのことです。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース