2024年分の確定申告の受付が、2月17日から開始されます。確定申告が必要な人は、今から準備を進めているのではないでしょうか。しかし自営業の人が前年に亡くなった場合、亡くなった人の確定申告は、誰がするのでしょうか。自営業だった父親を亡くし財産を相続したAさんのケースから、税理士法人小原会計の小原崇史税理士に話を伺いました。
─Aさんの父親は自営業でしたが、昨年10月末に亡くなりました。この場合、残された家族が父親の昨年分の確定申告をする必要がありますか?
自営業の父親が亡くなった場合は、残されたご家族(相続人)が1月1日から死亡した日までに確定した所得金額と税額を計算し、相続の開始があったことを知った日から4カ月以内に申告と納税をする必要があります。この手続きを「準確定申告」と呼んでいます。
─自営業の人が亡くなった場合の「準確定申告」には、申告が必要とされる金額の目安などはありますか?亡くなった人が会社員や年金受給者だった場合はどうでしょうか?
亡くなった方が自営業の場合、売上から経費を引いた金額(所得)が、48万円以上になるケースで準確定申告が必要になります。
また会社からの給与や年金以外で、年間20万円以上の所得がある人は、申告が必要です。20万円未満の場合は、申告は不要です。
ただし給与や年金しか所得がない場合や、それら以外の所得が20万円未満であっても、年末調整がおこなわれていなかったり、医療費が多くかかった場合などは、準確定申告をすることで還付を受けられる可能性があります。
─「準確定申告」は、誰が、いつまでにする必要がありますか?
準確定申告は、法定相続人がおこないます。法定相続人が2人以上いる場合は、連署にて確定申告を提出することとなります。一方で、他の相続人等の氏名を付記して各相続人が別々に申告書を提出することもできます。
その場合は、申告書を提出したことを他の相続人に通知する必要があります。準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から「4カ月以内」におこなうこととなります。
また、「準確定申告」は、4カ月の申告期限を過ぎてしまうと追徴税が発生するケースもあります。そのため相続する際には、準確定申告が必要かどうかも確認しておくことが大切です。
◆小原崇史(おはら・たかし)税理士法人小原会計 東京事務所所長。公認会計士、税理士。公認会計士試験合格後、監査法人にて、金商法監査、会社法監査、SPC監査に従事。税理士法人で相続対策、税務顧問等幅広い業務を経験後独立。東京都恵比寿にて個人事務所を開業。趣味は、筋トレ、プロ野球観戦、旅行。