「外出先のウォシュレットは汚い気が…」「水は清潔なのか」使いたくない声続出 TOTOに聞いたら、驚きの技術が…

ししまる555 ししまる555

 日本のトイレの綺麗さや充実した設備は、世界に誇る日本文化ともいえます。駅やコンビニなどの公共トイレにも、多機能な温水洗浄便座が増えてきました。ところが、公共トイレの温水洗浄便座の「ノズル」は汚れているから、シャワー機能は使いたくない……そんな意見がSNSに投稿され、話題となりました。

 温水洗浄便座の利用についてSNSでは、「水が清潔なのか、衛生面が気になって使えない」「自宅では使ってるけど外出先では使わない」「洗いながら排便する人がいるから無理」「男女共用トイレでは抵抗感がある」「痔持ちだし洗わないとスッキリしない」「自分のお尻の方が汚いから気にならない」など、使う派・使わない派ともにさまざまな声が寄せられました。

 温水洗浄便座としてなじみのある名前「ウォシュレット」は、TOTOの商標登録名。1980年に「これからは洗う時代です。洗いましょう。」=「レッツ・ウォッシュ(Let's Wash)」という意味を込めて名付けられました。1982年には「おしりだって、洗ってほしい。」のキャッチコピーで知名度を上げ、現在もトイレ市場のパイオニアとしてトップシェアを誇ります。

 衛生観念の高い日本だからこそ普及したともいえる温水洗浄便座ですが、不特定多数の人が使う公共トイレについては、衛生面に不安を感じる人が多いのも事実です。実際のところ、温水洗浄便座は清潔なのでしょうか?TOTO株式会社の広報部に聞きました。

ーーウォシュレットのノズル・水の衛生面について、製造元として取り組まれている点があれば教えてください。

「ウォシュレットなど温水洗浄便座は、水道水など飲用可能な水を用いてノズルから吐水されます。また、おしり洗浄などウォシュレットの洗浄は後方から斜めに吐水し、洗浄後の汚れた水がノズルにかかりにくいようにしています。

 また、ウォシュレット使用前後に水でノズルを洗浄するセルフクリーニング機能があります。『ノズルきれい』機能の搭載機種はこれに加えて、セルフクリーニングの後に『きれい除菌水』でノズルの内側と外側を洗浄・除菌を行います。

『きれい除菌水』は、水に含まれる塩化物イオンを電気分解して作られる除菌成分(次亜塩素酸)を含む水です。薬品や洗剤を使わず、水から作られます。この電解した除菌水でノズルおよび流路を洗浄する手段と装置に関して、TOTOが特許を取得しております。すべての菌などに効果があるわけではございませんが、トイレ内の一般的な菌などを除菌の対象としております。

 ウォシュレットの洗浄機能を8時間使用していない待機中にも、『きれい除菌水』でノズルの内側を自動で洗浄・除菌を行い、ノズルのきれいが長持ちします。また、一部を除いて『ノズルきれい』機能の搭載機種には、手動でノズル内部を『きれい除菌水』で洗浄・除菌できる『ノズルきれい』ボタンも搭載しています。

 そのほかにノズル掃除の際にノズルを引き出すことができる『ノズルそうじ』機能は、1991年発売のウォシュレット一体形便器ZGシリーズより実装されており、現在発売中の全ての機種に搭載されています。リモコン形状などによりボタンの有無は異なります」

ーー『きれい除菌水』は、ノズル掃除以外にも効果があるのでしょうか。

「『きれい除菌水』を便器ボウル内に噴霧する、『便器きれい』機能を備えた機種がございます。トイレ使用後と8時間使用しないときに、『きれい除菌水』のミストを便器ボウル面に自動でふきかけることで、黒ずみの原因となる『菌』を除菌します。『便器きれい』のミストは専用のノズルから噴霧するタイプや、ノズルの先端から噴霧するタイプがあり、機種によって異なります」

ーートイレを清潔に保つ機能が他にもあれば教えてください。

「撥水性があり防汚効果の高い『クリーン樹脂』をノズルと便座に採用することで、汚れをはじき、サッとひと拭きでお手入れできるようになっています。『クリーン樹脂』はTOTOが特許を取得しており、現在発売中のパブリック向けの商品は、クリーン樹脂を使用した『クリーン便座』『クリーンノズル』となっています。機種、グレードにより実装有無、使用している箇所が異なります。

 また、便器ボウル内に自動で水を噴霧し、汚れをつきにくくする『プレミスト』機能があります。プレミストのタイミングはトイレに近づいたとき・便座に座ったときなどですが、商品によって異なります。プレミストは『きれい除菌水』ではございません。

 他には以下の工夫・機能もございます。
・便座の内側にも外側にもつぎ目をなくしお掃除を簡単にしています(『クリーン便座』(つぎ目なし))
・凹凸や段差を抑え、すっきりとしたお掃除しやすいデザインになっています。
・パブリック用にはございませんが、住宅用ウォシュレットには便座先端の汚れを漂白、除菌する機能『便座きれい』を搭載した機種がございます。

・便器などの衛生陶器の表面を100万分の1mmのナノレベルでなめらかに仕上げることで、汚れが付きにくく、落ちやすくなるTOTOの特許技術『セフィオンテクト』を搭載した機種がございます」

ーーこれらの主要機能が搭載されたのはいつからでしょうか。

「住宅向け商品では、2012年2月発売のウォシュレット アプリコットF・ネオレストAH/RHシリーズより『きれい除菌水』『便器きれい』『プレミスト』『クリーン樹脂』『ノズルきれい』を搭載しております。

 パブリック向け商品では、2014年10月発売 ウォシュレットPSシリーズより『ノズルきれい』『プレミスト』『クリーン樹脂』を、2018年2月発売のウォシュレット アプリコットPより『便器きれい』を搭載しております。なお、それぞれ機種、グレードにより搭載有無が異なります」

ーー公共トイレのウォシュレットの利用について、メーカーとしての思いを教えてください。

「メーカーとしてはお客様に快適に使用していただけるように商品開発・改良につとめていますので、外出先でもご使用いただければと思います」

 公共トイレにおいては機種や利用状況が多種多様という環境下ではありますが、メーカー側ではトイレを衛生的に保てるように長年研究を続けて改良を重ね、TOTOの特許技術『きれい除菌水』『クリーン樹脂』『セフィオンテクト』をはじめとした高機能トイレへ日々進化していることがわかりました。

 また、TOTOを含めトイレに関する製造メーカーを会員とする「日本レストルーム工業会」では、公共トイレの清掃者に向けて「大便器・温水洗浄便座清掃マニュアル」を制作・公開し、ノズルの日常清掃などを周知するよう努めています。

 あわせて温水洗浄便座の利用者に向けて、使用上の注意点を以下のように呼びかけています。正しく安全な使用方法に基づき、公共トイレにおいては他の利用者のためにもマナーを守って使いましょう。

  ◇  ◇

 温水洗浄便座のおしり洗浄機能、ビデ洗浄機能は局部周辺に付着した汚れを洗い流す機能です。適度に局部の表面を洗うことにより局部を清潔に快適に保てます。

■ 温水洗浄便座のご使用方法について
・おしり洗浄は排便後の局部周辺に付着した汚れを洗い流す機能です。
・ビデ洗浄は生理時など局部周辺に付着した汚れを洗い流す機能です。
・水勢は「弱」から試し、慣れたら徐々にお好みの水勢でご使用ください。
・温水温度は季節に応じてお好みの温度でご使用ください。
・おしり・ビデとも洗浄時間は10秒~20秒を目安にご使用ください。

【ご注意】
●長時間の洗浄や洗いすぎに注意してください。また、局部内は洗わないでください。
※常在菌を洗い流してしまい、体内の菌バランスが崩れる可能性があります。
●習慣的に便意を促すためには使用しないでください。また、洗浄しながら故意に排便しないでください。
●局部に痛みや炎症などがあるときは、使用しないでください。
●局部の治療・医療行為を受けている方のご使用については、医師の指示を守ってください。

【警告】
化学療法を受けておられる方、免疫不全症の方など、極度に免疫力が低下して医師の治療を受けておられる方は、ご使用に際し医師にご相談ください。
身体への著しい障害をまねくおそれがあります。

  ◇  ◇

◆TOTO株式会社https://jp.toto.com/

◆一般社団法人 日本レストルーム工業会https://www.sanitary-net.com/
大便器・温水洗浄便座のお掃除方法(パブリック施設向け)ページ
温水洗浄便座の使用上のご注意について

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