話題のゲームの実況に、専門家の“解説”を盛り込んだ人気動画「ゲームさんぽ」と備前焼作家のコラボレーションイベントが岡山県立美術館(岡山市北区天神町)で行われた。12月8日まで開催された「第71回日本伝統工芸展」岡山展にちなみ、若年層の集客を狙おうと初めて企画。動画のファンという20~30代を中心に約140人が詰めかけた。
同展で入賞経験のある備前焼作家宮尾昌宏さん(54)=同県和気町=と同館の福冨幸学芸課長が出演。「ゲームさんぽ」を運営する「いいだ」さんと「マスダ」さんが案内人として陶芸家の仕事を疑似体験するゲーム「陶芸マスター」をプレーし、スクリーンで中継しながらトークを繰り広げた。
プレイヤーが陶芸家となり、ろくろや窯を使って器を制作し、展示・販売して収益を上げていくゲーム。案内人たちは、備前焼風の急須作りに挑戦した。宮尾さんと福冨学芸課長は画面を見ながら「少し形がゆがみましたね」「注ぎ口の位置が低すぎでは」など次々にコメント。備前焼について「土の成分や焼成時の酸素濃度なども出来を左右する」と紹介した。
終了後には、同展の列品解説を実施し、100人以上が集結。8割が初鑑賞というが「作品がこんなにきれいだとは思わなかった」「作り手の工夫と苦労がよく分かった」などの声が上がった。福冨学芸課長は「やり方次第で若い人にも伝統工芸の魅力を伝えられることが分かった。今後も発信の仕方を工夫していきたい」と話していた。
この日の様子は、1月下旬~2月上旬ごろに動画投稿サイト・ユーチューブで公開予定。